欧州

2026.05.28 08:00

ロシアのインターネット遮断が裏目に 大統領と国民の間で深まる亀裂

ロシアのウラジーミル・プーチン大統領。2026年4月28日撮影(Contributor/Getty Images)

ロシアのウラジーミル・プーチン大統領。2026年4月28日撮影(Contributor/Getty Images)

ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は深刻な問題を抱えている。テレビによるプロパガンダ活動に30億ドル(約4800億円)近くを費やしたにもかかわらず、同大統領は国内で自らが望むほどの人気を得られていない。

2022年2月のウクライナ侵攻開始から4年以上が経過した今も、戦場では膠着(こうちゃく)状態が続いている。ウクライナ東部ドンバス地方の完全支配を目指し、ロシアは強力な極超音速ミサイル「オレシニク」を用いてウクライナの首都キーウへの大規模な攻撃を開始した。この侵攻開始以降最大規模の攻撃で、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、同国の防空システムが無人機(ドローン)549機とミサイル55発を迎撃したと報告した。

これは、プーチン大統領の国内の支持率低下を覆い隠すための策略かもしれない。概して独裁政権は、自らの正当性を示すプロパガンダの手段として、世論調査に多額の資金を投じるのが常だ。ところが、ロシア政府系の世論調査機関でさえ、プーチン大統領の支持率が2月の74%から4月には65.6%に低下し、信頼度も同期間に7ポイント低下して71%となったことを明らかにした。民主主義国家であればこれらは極めて高い数値だが、ウクライナ侵攻開始以来、最も低い水準となっている。調査方法が戸別訪問による聞き取りに変更されても、支持率はわずか1ポイント上昇しただけだった。

権威主義的な体制下での世論調査は、実施が極めて困難であることが知られている。人々は報復を恐れ、慎重に扱うべき話題について本音を語りたがらないからだ。市民は日常的に本心を隠し、選好を偽る傾向があるため、独裁者の支持率が実際より大幅に過大評価されることがある。さらに、厳しく規制された情報環境下では、市民は政権に関する正確な情報や批判的な情報を入手することが難しい。

ロシアで定期的に世論調査を実施している唯一の独立系機関であるレバダセンターは、ウクライナ侵攻が当初、プーチン大統領の支持率を20年の最低値である59%から87%へと押し上げたことを示した。同センターによると、同大統領の支持率は依然として極めて高い水準にあるものの、ここ数カ月で8ポイント低下している。

プーチン大統領の支持率低迷の要因

プーチン大統領の支持率低迷は、ウクライナ侵攻の長期化が原因だと考えられるかもしれない。軍事作戦に参加した、あるいは現在参加している親族がいるロシア国民の割合は、22年時点では15%だったが、現在では3分の1近くに達している。ロシア国内の半分に及ぶ地域では、暖房の停止や停電、医薬品の不足、無人機攻撃に見舞われている。実際、ロシア国民の7割がウクライナ軍の無人機の射程圏内に居住している。

ウクライナは戦闘で勝利しているわけではないが、プーチン大統領の想定をはるかに上回る戦果を上げており、攻撃にも転じている。例年、ロシアの首都モスクワで5月9日に盛大に開催される第二次世界大戦の戦勝記念パレードも、今年はウクライナ軍の無人機攻撃を恐れ、規模を縮小せざるを得なかった。

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翻訳・編集=安藤清香

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