欧州

2026.05.28 08:00

ロシアのインターネット遮断が裏目に 大統領と国民の間で深まる亀裂

ロシアのウラジーミル・プーチン大統領。2026年4月28日撮影(Contributor/Getty Images)

皮肉なことに、プーチン大統領は近代化と国力の象徴として、長年にわたり通信網を構築してきたにもかかわらず、安全保障の名の下にそれを破壊してしまった。ウクライナ侵攻がインターネット遮断の単なる口実ではないとすれば、この事態は、軍事侵攻がロシア国内の生活をいかに深く悪化させたかを浮き彫りにしている。ある調査によると、最近インターネットが遮断された地域で聞き取り調査に応じたロシア人の回答者は、侵攻の継続より和平交渉の開始を支持する傾向が強いことが明らかになった。

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世論調査では、ロシア国民はウクライナ軍の無人機攻撃よりインターネット規制を最大の不安要因と捉えていることが示された。従来の検閲には回避策があったが、通信網自体の遮断は現代生活をほぼ不可能にしている。プーチン大統領は恐らくこの状況を理解できないのだろう。報道によれば、同大統領はインターネットを利用せず、スマートフォンも持っていないという。

プーチン大統領の孤立と側近の間でも深まる亀裂

プーチン大統領はますます孤立を深めている。これは個人崇拝型の体制ではよくある展開だ。同大統領は暗殺やクーデターへの恐怖に駆られ、数週間にわたり地下壕に身を潜めていたとされる。クーデターへの懸念は西側諸国にとっての単なる希望的観測に過ぎないかもしれないが、プーチン大統領は極めて困難な時期を迎えている。

ロシアの独裁政権を支える鍵を握るエリート層は幻滅を募らせており、治安機関職員(シロビキ)と文民指導部との間には明確な亀裂が生じている。特に文民指導部はプーチン大統領に強い失望感を抱いており、インターネット規制を巡って両派閥の対立が深まっているとの報告もある。

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ロシア大統領府(クレムリン)のセルゲイ・キリエンコ第1副長官とドミトリー・ペスコフ報道官は、こうした厳しいインターネット規制が国民の反発を招く恐れがあるとして大統領の説得を試みたが、成功しなかった。キリエンコ副長官は異例にも公の場で「すべてを禁止することは不可能だ」と発言した。

だが、プーチン大統領が耳を傾けるのは治安機関だけだ。プーチン大統領の周囲は軍の幹部が取り巻いており、大統領が聞きたいことだけを伝える。例えば、ドンバス地方は年末までに制圧できるだろう(実際には非現実的だ)、そしてインターネットの遮断は必要悪だ、といった具合だ。

これは、政府の世論調査で異例の支持率低下が見られた一因かもしれない。文民指導部が、インターネット遮断は愚策だというメッセージを送ろうとしているのだ。しかし、ロシア連邦保安庁(FSB)は強硬な姿勢を崩していない。

だが、これは裏目に出る可能性もある。現代の成功した権威主義体制は、デジタル空間の限定的な開放を容認することが多い。なぜなら、高い経済効果によって政治的な受動性を維持できるからだ。ところが、国民の日常生活に干渉することで、クレムリンは抑圧しようとしている不満そのものを生み出す危険を冒している。これは、ロシア国内ですべてが順調ではないことを示す兆候と言えるだろう。

forbes.com 原文

翻訳・編集=安藤清香

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