ロシアの軍事ブロガーたちには不満の種が山ほどある。前線では、主にウクライナ側のFPV(一人称視点)ドローン(無人機)優勢のために、ロシア軍が大きな損害を出しながらじわじわと後退している。はるか後方では、モスクワを含むロシア国内が一晩で1000機規模のドローン攻撃を受けた。モスクワ市内や郊外でも製油所が炎上するなど複数のインフラが被害を受け、首都すらウクライナの攻撃圏内であることがまざまざと示された。だが、さらに深刻な懸念を呼んでいるのは、前線と国内の後方の「間」で起こっていることだ。
おおむね10〜200km程度離れた目標を狙うウクライナの中距離ドローン攻撃は、ここ数カ月で急増している。なかでも、ロシア側で「火星人(マルシアーニン)」と呼ばれているドローンが道路上を徘徊し、燃料タンクローリーをはじめとする軍需物資輸送車両を探し出して破壊している。以前は安全と考えられていた地域も危険にさらされ、補給線が脅かされているのだ。
ウクライナのボロディミル・ゼレンスキー大統領は5月初め、20km以上の中距離攻撃数が2月から3月にかけて倍増し、3月から4月にかけても倍増したと明らかにした。「今後さらに増える」との見通しも示している。
いずれにせよ、ロシア側が本当に頭を悩ませているのは、技術的な飛躍を遂げ、従来の防御を無効にする新型ドローンだ。その功績のかなりの部分は、元米グーグル最高経営責任者(CEO)で軍用ドローン投資家のエリック・シュミットその人に帰せられるかもしれない。
グレーゾーンの向こう側
ウクライナの前線周辺のいわゆる「グレーゾーン」は回転翼4枚のクワッドコプター型などのFPVドローンによって支配され、従来型の戦場兵站は不可能になっている。すでに2023年には、こうした小型ドローンは前線から数km以内にあるトラックやバンを破壊し始め、高速の追跡戦が繰り広げられることもよくあった。現在は、グレーゾーンでの補給はオートバイや地上ロボットなどで行われている。ロシア軍の場合は、「ラクダ」と呼ばれる不運な兵士が背中に荷物を背負って担うこともある。



