暮らし

2026.06.02 16:00

長続きするカップルが共通して持つ「自己分化」という心理的能力

stock.adobe.com

恋愛で「安定した自分」が必要な理由

自己分化に関する研究は近年大きく進展しており、その結果は非常に説得力がある。

advertisement

専門誌『Clinical Psychology Review』に2022年に掲載されたスコーピングレビューでは、ボーエンの自己分化の概念に関する約300の研究を検証し、その中心的な予測のうちの1つに対して幅広い支持が得られた。それは、自己分化レベルが高い人ほど恋愛関係がうまくいっており、心理的ウェルビーイングも良好な傾向が見られるというものだった。

感情的なつながりを保ちつつ安定した自己意識を維持することが、より健全な恋愛関係につながることが一貫して示されている。特筆すべきは、これが文化を超えて確認された点だ。

科学誌『プロスワン』に2023年に掲載された縦断研究では、スペインと米国の958人を追跡調査した結果、自己分化のレベルが高い人ほど時間の経過とともに関係の質と安定性が高まることが予測されることが明らかになった。また、自己分化のレベルの高さは、カップルがその間にどれほどストレスの多い出来事を経験したかに関係なく、不安型と回避型の愛着スタイルの低下とも関連していた。

advertisement

重要なのは、男女とも時間とともに自己分化が高まっていたことだ。つまり、これは固定された性格特性ではなく、変化する学習可能な能力だということを示唆している。このことによる感情面での恩恵は多くの人が予想する以上に大きい。

専門誌『Journal of Sex & Marital Therapy』に掲載された研究では、自己分化の2つの構成要素(感情的反応と感情的遮断)が、関係の満足度および性欲の両方を経時的に予測することが明らかになった。プレッシャー下でも沈黙に逃げ込むことなく感情をコントロールすることを学んだカップルはこの2つの要素に関してより深い親密さを報告していた。

恋愛中に「自分らしさ」を保つ方法

自己分化がさほどできていないと、恋愛関係はすべてを飲み込むようなものになる。具体的には、パートナーの内面世界がすぐに自分のものになってしまい、本来は自分が背負うべきではない感情に振り回されてしまう。

たとえば、パートナーが大変な1日を終えて不機嫌な状態で帰宅したとする。するとほんの数分であなたは相手の気分を丸ごと吸収してしまう。相手の不機嫌に対して責任を感じる。あなたはその状況をなんとかしようとしたり、自分がその影響を受けていることに腹を立てたりする。こうしてその夜は自分の感情ではなく相手の感情に左右されることになる。

次ページ > 自分のアイデンティティを大切にする

翻訳=溝口慈子

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事