先月はスズメ蜂駆除のタイミングだった。女王蜂は、5月以降は外に出ず、巣の奥で働き蜂を生み続けるが、この時期だけ外界を飛び回る。これを捕まえれば、巣は滅びる。ペットボトルの側面に2カ所の入り口を切りこんで、中に秘伝の液体を入れ、樹間につり下げておく。液体の匂いに誘われた蜂たちが入り込むともう出られない。ただし、働き蜂だけ捕獲しても意味がない。肝心なのは女王蜂だ。時期を逃すと、働き蜂しか来ないし、何匹も襲来するのでかえって危険だ。4月は働き蜂より二回りも大きく、腹部が丸みを帯びた女王が引っかかった。
温暖化のせいか、この数年、わが家はスズメ蜂に悩まされている。敷地内を精査しても巣はない。毎年、女王蜂を捕獲できても晩夏には多くが現れる。数キロは飛翔するといわれる彼らは、どこかにいくつも営巣しているのだろう。巣はひとつではないのだ。人間が知恵を回しても、虫たちは手ごわい。根元を絶ったつもりでも、巨大な黄色い顎のスズメ蜂はやって来る。シロアリやムカデの粘り強さに閉口した経験もある。
人間を虫に例えるのは気が引けるが、トランプ政権は自分の気に入らない人間を虫けらと侮っているのではないか。イランへの攻撃でそれを強く感じた。
ただでも複雑で困難な情勢にある中東である。米政権はパンドラの箱を開けてしまった。トランプの動機はどうであれ、学校を破壊して多くの子どもたちを虐殺した映像には、世界中が凍り付いた。多種類のミサイルを撃ち込み、最新軍用機で空爆を繰り返し、製油所を破壊した挙げ句、dealといううんざりする言葉を多用して交渉を長引かせる。「石器時代に戻す」と非礼で下品な発言まで出る。まさに虫けら扱いだ。
かつて米国はベトナムで人間を虫けら扱いした。ソンミ村では子どもを含む500人にも上る村民を虐殺した。拷問、強姦も報告されている。ベトコンに手を焼くと焦土作戦を展開した。北爆ではナパーム弾を多用、大量虐殺が繰り返された。枯葉剤の使用はとりわけ悪名高い。強力な除草剤で森林を丸裸にしてゲリラを焙りだす作戦だった。高濃度のダイオキシンが含有されて広大な土地が汚染された。現在なお土壌汚染地域の除染が続いている。映画『地獄の黙示録』では、自分専用のサーフィン場をつくるために、臨海の村を消滅させる米軍士官が描かれている。
先の大戦では日本も酸鼻を極める攻撃を受けた。2発の原爆投下と東京や大阪をはじめとする都市への無差別爆撃で、丸腰の市民が50万人以上殺された。海軍兵学校時代に呉大空襲に遭遇した亡父が吐き捨てるように言っていた。「俺たちは虫けら以下の目にあった」。その後が広島だった。
こうした非道な行いは米国だけではない。ソ連は、10年に及ぶアフガニスタン侵攻で多くの村落を壊滅させ、地雷で子どもたちの命や手足を奪った。アフガン民間人の死者は200万人、難民は500万人にも及んだという。ロシアがウクライナで続ける残虐行為は周知のとおりだ。



