より敏感な脅威検知システムを持って生まれてくる人もいる。その敏感さはおそらく、かつては生存のための強力な武器(強み)だった。脅威が現実的かつ恒常的だった環境では、過敏な「悪夢脳」を持つことで、より準備が整い、より警戒心が強く、より生き延びやすい人間が生み出された可能性が高い。問題は言うまでもなく、ヒョウの多くはすでにいなくなったのに、脳のほうは更新されていないことだ。
かつて捕食者からの逃走をリハーサルしていた同じ神経機構が、いまはローンの返済や光熱費の未払いや職場での屈辱、日々飛び込んでくるニュースに漂う不安を処理している。脅威検出システムは、闇の中の肉食獣と午前9時の重要なプレゼンテーションを有意に区別できない。どちらも同じ回路を活性化するため、どちらも同じ切迫感で夢を満たしうる。
このミスマッチは、子どもでとりわけ顕著である。悪夢は3〜6歳でピークを迎えるが、これは生物学的に理にかなっている。子どもは体が小さく、依存度が高く、そして大人よりもはるかに幅広い脅威に対して脆弱だからだ。
進化医学などの学術誌『Evolution, Medicine, and Public Health』に掲載された研究はさらに、現代の「ひとりで眠る」習慣──祖先環境ではほとんど知られていなかったはずの行動──そのものが、養育者と密接に接して眠るよう進化した神経系をもつ子どもにおいて、古い警報システムを作動させている可能性を指摘する。
この現象の対極に位置するのが心的外傷後の悪夢である。これは、古いリハーサルのループが開いたまま詰まり、元のトラウマが過ぎ去った後も同じ出来事を数カ月、あるいは数年にわたり再生し続ける状態だ。この場合、システムの適応ロジックが最も残酷な弱点へと変わる。緊急事態の終了を宣言する確かな仕組みを持たないため、脅威が解消した後も脳はシミュレーターを走らせ続けるのだ。
では次に、息をのんで目覚めたとき──脈拍が跳ね上がり、半ば思い出せない追跡の残滓が意識の縁にまとわりついているとき──何が起きたのかを考えてみてほしい。
あなたの脳はシミュレーションを実行した。脅威を選び、状況を組み立て、眠っている神経系にそれと向き合うことを強いた。脳は何十万年ものあいだ、何らかの形でそれを続けてきた。アフリカのサバンナにいた祖先のために、ヨーロッパへ渡った最初のホモ・サピエンスのために、そして彼らとあなたの間にいるすべての世代のために。
悪夢は何かの訪れではないし罰でもない。進化の最も字義どおりの意味において、それは準備である。次に息をのんで目覚めたら、思い出してほしい。あなたは、脳が意図したとおりに生き延びたのだ。


