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2026.06.01 15:30

国策の次を見据える市場思考

田中邦裕|さくらインターネット代表取締役社長

田中邦裕|さくらインターネット代表取締役社長

長い2年4カ月だった。2023年11月、デジタル庁は当時、中央官庁や地方自治体が共通基盤でシステム運用する「ガバメントクラウド」の提供事業者としてさくらインターネットを認定した。これまでの4社はすべて外資系。さくらインターネットは国産初だった。

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ただし、認定は25年度末までに305項目の要件を満たせば、という条件つきだった。それらの要件を一つひとつクリアして、26年3月にようやく正式に採択されたのだ。

創業者の田中邦裕は「質と量、両面で大変でした」と振り返る。

「官公庁向けのサービスは止まらないこと、止まったときにきちんと説明できる体制が求められます。これまでネット企業向けにサービスを提供してきた私たちが越えなくてはいけない質的なハードルは高かった」

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経営者としてより悩ましかったのは量のほうだろう。

「期限があるので現場には3~5倍のスピードでやってもらわないといけない。このとき大事なのは兵たんです。必要なリソースを提供せずに『頑張れ』というのは無謀な精神論。今回、運用・開発体制の構築に非常に大きなコストを投じました。売り上げ200億~300億円の会社が高い水準の投資を続けるのはリスキーです。株主にどう理解していただくかという点も含めて困難な挑戦でしたね」

ガバメントクラウド提供事業者が外資系ばかりであることは、日本の産業育成や経済安全保障の面から理想的ではない。23年にデジタル庁が要件を緩和したのも、国内企業の参入を促す狙いがあったと考えられる。ただ、多額の投資をして採択を受けても、先行する外資系の牙城を崩さないと利益が出ない。参入を検討した日本企業は多かったが、手を挙げたのは3社のみだった。

国産競合が尻込みするなかで、なぜ国策に乗ったのか。背景には「新規事業より新規市場」の戦略がある。

さくらインターネットは、個人にサーバーをレンタルする事業で1996年に創業。05年頃に法人向けに拡大し、その後クラウド市場にも参入した。ターゲットや提供方法は変わっても、基本的にはサーバービジネスの延長線上で事業を展開してきた。

「本業の延長なら、新規市場参入時のリスクもある程度はコントロールできます。過去にGPUサービスに投資し過ぎたときも、社員がなんとか売ってくれて大事には至らなかった。ガバメントクラウドも、自分たちがサーバービジネスで培ってきた知見を生かせるでしょう」

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文=村上 敬 写真=苅部太郎

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