テクノロジー

2026.06.02 15:00

1レース650TBの衝撃、F1がAIとエッジで挑む1ペタバイトの未来

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1回の週末で1億3000万曲をストリーミングしたら、と想像してみてほしい。あるいは、Netflixで4Kの映像を16万2500時間ぶっ通しで視聴したら。もしくは、米国議会図書館の全蔵書をわずか3日間で32回読了したら。それらとほぼ同じ量のデータを、F1(フォーミュラ1)はレースウィーク(レースが開催される金曜日から日曜日にかけての期間)のたびに動かしている。

2年前は、トラックサイドのテクニカルセンターと英国の放送拠点の間で約500TBのデータをレースウィークごとにやり取りしていた。いまや、そのデータ量は650TBに達する。わずか24カ月で30%増えたことになる。世界屈指のデータ集約型スポーツであるF1が、AIやエッジコンピューティング、リアルタイムの遠隔測定(テレメトリー)が不可欠な未来へ突き進んでいる証拠といえる。

筆者はこのほど、F1のITチームを率いるクリス・ロバーツとF1のグローバル技術パートナーであるレノボのマイロ・スペランツォにインタビューする機会を得た。増え続けるデータ量がどこから生まれ、どこへ向かっているのか。その実態について話を聞いた。

「われわれは意地悪な人間なんです」──レースの運営と放送を支えるハードウェア/ソフトウェアをまとめ上げる難しさについて尋ねると、ロバーツは冗談めかしてそう言った。スペランツォは笑って「そんなことはない」と反論した。

とはいえ、これは手強いデータの課題である。

時速320km超でF1サーキットを駆け抜けるマシンは、世界最速級の四輪レーシングマシンに見えるし、実際にその通りだ。しかしその内側は、実はデータを生み出す怪物である。2026年シーズンに参戦する全11チーム・22台のマシンにはそれぞれ300個のセンサーが搭載され、毎秒100万件以上のデータを取得する。これをレースウィーク全体で合算すると、マシンだけでテレメトリーは約8TBに達し、メルセデスAMGペトロナスF1チームやオラクル・レッドブル・レーシング、マクラーレン・マスターカード・F1チームなどのすべてのチームに、エンジン性能、サスペンション挙動、ギアボックスの効率、燃料の流量、G(加速度)、ドライバーの操作などに関する膨大なデータをもたらす。

そして、こうした車両テレメトリーはF1のデータ源の一部にすぎない。

F1では他に、28台の超高精細(UHD)トラックカメラを配備し、縁石や橋、防護壁に埋め込まれた4〜6台のカメラに加えて、ジャイロの安定化機能を備えたヘリコプターのカメラ、ピットレーン全域のモバイルカメラ、フィールド全体で100台超の車載カメラ、ドローンカメラも運用している。さらに、各マシンに搭載された非ライブの360°カメラは、1レースあたり480GBの映像を収録し、各サーキットに配置された最大150本のマイクがレースの音も捉える。

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