テクノロジー

2026.06.02 15:00

1レース650TBの衝撃、F1がAIとエッジで挑む1ペタバイトの未来

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これらすべてのデータは、移動型のテクニカルセンターへと集約される。この施設は各レース後に解体され、次の開催地へ出荷される。ロバーツはこれを「同種の移動可能施設として世界最大かつ最も複雑」と言う。そこには750点の機器が収容され、レノボ製のサーバー上で40の専用ソフトウェアシステムが稼働する。計512コアで1.4THzのCPU、8.2TBのRAM、そして100TBのオールフラッシュストレージを備える。

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データが増えるのは、視聴者が変わっているからだ

F1のデータ量増加の理由は、センサーや高解像度カメラの増加だと思われるかもしれない。確かにそれは大きな要因だ。だが、もう1つの主要な推進力は、今日の視聴者層の変化である。

ロバーツによれば、世界中のF1のファンベースは現在8億2700万人に達する。前年比12%増で、2018年比では63%増だ。さらに示唆的なのが属性の変化で、ファンの43%が35歳未満、42%が女性となった。F1は、中国とインドに3億人のファンがいるとも述べている。モータースポーツにとっては比較的新しい市場だ。

新しく若いファンは静的な放送フィードだけを望んでいるわけではない、とロバーツは言う。彼らが求めるのは、スタッツ、マルチカメラアングル、ドライバートラッカー(ドライバーの運転行動やマシンの状態などをリアルタイムで監視・記録するシステム)のオーバーレイ、戦略の解説、SNS向けの切り抜き動画、舞台裏コンテンツ、オンボード映像、そしてマックス・フェルスタッペンの鮮烈な追い抜きシーンを切り取ったTikTok動画が即座に見られることだ。2025年、F1はSNS向けに1万本超の動画を制作し、動画視聴回数は180億回を超えた。2026年には、この量はさらに増えるという。

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「ファン層は、ライト層からコア層まで幅広い。そして、我々は彼ら全員に語りかけなければならない」とロバーツは言う。

そのファンベース全体に望まれるものを届ける必要性こそが、今季開幕時にF1がテレメトリーパイプラインを刷新するきっかけとなった。英国の放送センターではなく現地で処理することで、遅延(レイテンシー)を0.3秒短縮した。

この0.3という数字は、一見すると極めてわずかな差に感じられるかもしれない。しかし、1万分の1秒単位で勝敗が決するF1の世界において、この短縮は極めて大きな意味を持つ。もちろん、スクーデリア・フェラーリHP(Scuderia Ferrari HP、それが参戦チームの1つ)に正しい戦略判断をさせる助けになるほどではないかもしれないが。

方程式に加わるAI

こうしたデータはもちろん、チームがより速く走るのに役立っている。だが同時に、F1がAI時代へ踏み出す助けにもなっている。

ロバーツによれば、彼のチームはF1のノートパソコンをAI対応モデルへ置き換え、かつてクラウド上にあったワークロードをオンプレミスのインフラとエッジデバイスへ移している。クラウドより近く、より速い。これは、移動型オペレーションにとって重要な要素である。

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