暮らし

2026.05.30 15:00

互いに支え合った記憶を呼び起こす親子の小鳥:近藤佳代子 アサヒ飲料 代表取締役社長

贈り、贈られたモノや体験は、人生を変えるほどの力を持つことがある。企業のトップ、リーダーたちが経験した、モノや体験に介在する特別な思い入れを紹介する。自身の生き方、サクセスストーリーにも影響を及ぼしたであろう「GIFT」の逸話には人間味あふれる姿がある。希薄化も言われる現代の人間関係とは異なる、特別な関係だ。


THE GIFT #36

近藤佳代子 
アサヒ飲料 代表取締役社長

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苦楽を共にした友人の谷山由樹子さんは、独学で作陶を続け陶芸家に。
「pottery Haneco」の名で作品を発表している。
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青い陶器の上に佇む、親子の小鳥。この作品のつくり手は、陶芸家の谷山由樹子。大学の体育会バスケットボール部にて、勝って笑い、負けて泣いた日々を共にした友人だ。悔し涙を流した日も、最後の1本が決まり抱き合った日も、いつも隣にいた。

今も親交は続いており、2021年9月には家族で彼女の個展にも足を運んだ。後日、送られてきたのがこの青い陶器の置き物である。そこには、「いつも支えてくれてありがとう」とのメッセージも添えられていたが、お礼を言いたいのはこちらのほうだ。困難な状況に置かれたときや、不安を感じたときも、この親子の小鳥を見ると「自分はひとりじゃない」と感じ、勇気をもらえているからだ。

振り返れば、彼女をはじめ、チームメイトとともに楽しみ、そして逆境を乗り越えてきたバスケットボール部での経験が、私の芯になっているように思う。彼女からのギフトは、そんな互いに支えあった時間の記憶を象徴するものでもあるのだ。

「人は人に育てられる」。この作品は、その大切な原点を思い出させ、常に私を支え続けてくれている。


こんどう・かよこ◎1968年生まれ、神奈川県出身。91年明治学院大学を卒業後、アサヒ飲料入社。営業部門、調達部門などで活躍。2019年アサヒグループホールディングスサステナビリティ部門へ移動。22年同執行役員。25年アサヒ飲料常務執行役員を経て、26年3月より現職。同社生え抜きで女性初の社長。

文=伊藤美玲 イラスト=東海林巨樹

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