NY、超富裕層向けマンションは“プライベートジェット完備”

Courtesy of 111 Murray Street



富裕層のライフスタイルには上限がない。マンハッタンのトライベッカに建設中の超高級マンション「111 Murray Street」は64階建て、高さ241mの彫刻のようなシルエットで一際目立つ存在になりそうだが、居住者向けサービスの内容もまた天井知らずだ。

同マンションが謳うのは「次世代のラグジュアリー・リビング」。デベロッパーのフィッシャー・ブラザース、ウィットコフ、ニュー・バリーは業界初の試みであるプライベートジェット会社との提携を発表した。住人はブルースター・ジェット社の「25 Hour Sky Card」プログラムを通して世界中の航空機、車、ホテルなどのサービスを受けることができる。

この斬新なサービスを使えば、あらゆる旅が最短4時間でアレンジ可能だ。急に上海出張が入った時や、ふとハンプトンズで休暇を過ごしたくなった時、住人はマンションのコンシェルジュに電話をかけるだけでいい。電話はパーソナルフライトディレクターに取次がれ、食事、飲み物、機内の娯楽のリクエストにも対応してもらえる。

「顧客がビジネスとプライベートの両面で何を求めているのかを追求した結果、今回の提携が実現しました」と話すのは、フィッシャー・ブラザースの共同経営者ウィンストン・フィッシャー。フィッシャーによると、購入者の大半は海外に複数の別宅を持っているため、公私ともに航空機に乗る機会が多いという。

ニューヨークを拠点とするブルースター・ジェットは、6人乗りのユーロコプターから50人以上を収容するエアバスA380まで、5000機以上の航空機のネットワークを世界中で展開している。「まさに我々が想定するレベルのラグジュアリーです」(ウィットコフ)

ブルースター・ジェットのSky Cardメンバーシップは数種類あり、「ライト」が12万5万5,000ドル(約1,513万円)、「ミディアム」が18万8,000万ドル(約2,276万円)、「スーパーミディアム」と「ヘビー」が30万ドル(約3,631万円)。マンション住人は前二者で10%、後二者で20%の割引を受けられる。また、3万ドル(約363万円)でエイスター(軽量ヘリコプター)会員になることもできる。

さらに航空機以外にも、Fisher Island Club、One&Only Resorts、Quesar Expeditionsをはじめとする高級リゾート施設や貸別荘、Denison Yahcht Sales、Northrop & Johnson、International Yachtsmanなどが所有するヨット、Gotham Dream Carsの高級レンタカーなどをディスカウント価格で利用できる。

「フィッシャー家、スティーヴ・ウィトコフ、ハワード・ローバー(不動産投資会社New Valley代表)らの最上級の住居を作り上げようとする情熱は比類がない」とブルースター・ジェットのトッド・ローム創業者CEOは言う。「111 Murray Streetはダウンタウンの新たな名所になるでしょう。この前代未聞のプロジェクトに参加することができてとても光栄です」

今年7月に着工した111 Murray Streetは、建築・デザイン界のトップアーティスト4組のコラボレーションも話題だ。独特の曲線を描くタワーは六本木ヒルズ森タワーやコレド日本橋を手がけた建築設計事務所コーン・ペダーセン・フォックスが設計し、居住スペースのモダンな内装をMR Architecture + Décorの創業者デイヴィッド・マンがデザイン。マンションの広場と各戸の専用庭はエドマンド・ホランダーが担当し、ティールーム、パティスリー、トルコ風呂、23mプール付きのフィットネスセンターを含む全1858平米の共用施設のコンセプトをNYグランド・セントラル駅のリノベーションなどで有名なデイヴィッド・ロックウェルが手がけている。

総戸数は157戸。1ベッドルームから5ベッドルームまで様々な間取りが用意されている。昨年6月の発売開始以来、半数以上に買い手がついており、2015年10月30日現在、8階の1ベッドルーム物件(73平米、202万5,000ドル=約2億4,490万円)や54階の4ベッドルーム物件(313平米、1,515万ドル=約18億32,00万円)を含む10戸が募集中。二つあるペントハウスの価格はまだ公開されていないが、それぞれ1,750万ドル(約21億1,600万円)を超えると見られている。

文=クリスティン・タブラング(Forbes)/ 編集=海田恭子

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