欧州

2026.05.27 09:30

ウクライナは巧みな「ドローン外交」で世界の強国へとのし上がる

ウクライナの首都キーウで、ウクライナ軍の無人機(ドローン)の披露式典に出席した同国のウォロディミル・ゼレンスキー大統領(右)と英国のキア・スターマー首相(中央)。2025年1月16日撮影(Carl Court/Getty Images)

ウクライナの首都キーウで、ウクライナ軍の無人機(ドローン)の披露式典に出席した同国のウォロディミル・ゼレンスキー大統領(右)と英国のキア・スターマー首相(中央)。2025年1月16日撮影(Carl Court/Getty Images)

戦況を好転させ、その過程で現代の戦争のあり方を一変させたウクライナは、今や地政学的な勢力となることで、さらなる飛躍を遂げ、世界を変革しようとしている。

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これまでウクライナと協力してきた国の大半は、支援を提供する側だった。だが、その支援は断続的で、往々にして手遅れで不十分だったため、ウクライナは生き残るために独自の取り組みを模索せざるを得なかった。こうした強制的な自給自足の習慣によって、今やウクライナは防衛から攻勢へと転じ、地政学的影響力も得た。これまでは、この領域でウクライナがロシアに対抗できるとは誰も考えていなかった。少なくとも、これまでは。

具体例をいくつか挙げよう。ウクライナは最近、ロシアが支援する沿ドニエストル共和国からの脅威を封じ込めるため、部隊や技術を提供して隣国モルドバを軍事的に支援する意向を示した。これは象徴的にも実際的にも、非常に巧妙な一手だ。これは、ウクライナに影響を与えるチェス盤上でのロシアの動き、この場合は同国がウクライナへの支援を止めるために、東側から欧州をけん制しようとする試みに対抗するものだ。これは、欧州連合(EU)が防衛できない、あるいは防衛しようとしない場合でも、ウクライナが加盟国と直接取引することで、欧州を防衛することをEUに示すことになる。

また、次の選挙で親ロシア派のポピュリストが政権を握る可能性が高い近隣のルーマニアで、迫りくる政変の脅威を未然に防ぐことにもなる。さらに、ウクライナ軍を欧州に派遣するという、方針を単純に逆転させることで、同国のEUや北大西洋条約機構(NATO)加盟に伴うあらゆる煩雑な手続きを回避するものでもある。

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現在、米国とウクライナ軍の間でも同様の協力関係について協議が進められている。米ホワイトハウスはウクライナの防衛に向けた支援を打ち切る意向を固めているようだが、米国防総省はより現実的な立場を取っている。米軍は、現代の無人機(ドローン)戦術やそれに伴う費用削減で、自国が決定的に後れを取っていることを認識している。これは基本的な無人機技術だけでなく、人工知能(AI)による自動化や無人機の妨害技術、航空監視、ロボット地上無人機技術など、関連するあらゆる技術に当てはまる。将来の計画で極めて重要になるこれらの分野での協力は、上層部の政治的な逆風を静かに回避しつつ、米軍を再びウクライナ軍と直接的な共生関係に置くことになるだろう。

しかし、もう1つ重要な要因がある。ウクライナからの安価で迅速、かつ条件の少ない支援が、過去10年間で1000億ドル(約16兆円)を超える米国のペルシャ湾岸諸国との武器取引を置き換えたり、縮小させたりする危険性だ。ウクライナが湾岸地域で新たな同盟関係を築いたことで、同国は米国防総省の提案に対して対案を提示できる立場に立った。ここでもまた、他国への無人機供給が、ウクライナに地政学的影響力をもたらしている。

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翻訳・編集=安藤清香

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