サウジアラビアをはじめとする湾岸諸国は、イラン製無人機「シャヘド」に対する脆弱(ぜいじゃく)性が露呈したことで、ウクライナの軍事技術に扉を開くようになった。湾岸諸国には米国が提供した高価な防衛装備があったにもかかわらず、ロシアや中国の支援を受けたイランの攻撃は広範囲に及び、経済全体が脅かされている。ウクライナの関与は、シャヘドに対する防衛面での知識を提供するだけでなく、イランの標的に対して精密攻撃を波状的に仕掛けるという、費用対効果の高い対抗手段ももたらす。
もう1つの根本的な革新、そしてまだ誰も将来の戦争のあり方を予測できていない点は、ウクライナが地上部隊の必要性をほぼ完全になくす形で無人機を活用していることだ。つまり、地上戦に代わる無人機戦争が始まっているのだ。塹壕(ざんごう)や樹木帯、家屋、車両など、これまで地上部隊が必要とされていたさまざまな場所で、無人機が兵士を標的にするなど、この手法は多岐にわたって応用されている。事実上、従来の市街戦や街路監視といった戦術はもはや不要になるだろう。
この画期的な技術革新は、例えばイランでの米軍の行き詰まりを打開する可能性がある。米軍は大規模な空爆で壊滅的な被害を与えた後も、次の段階として侵攻が必要となるため、イラン政権に圧力をかけることに失敗している。これは実質的に、イスラエルが通信機器を介してレバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラの勢力を大量排除した手法に相当する。ただし、これは単発の奇襲ではなく継続的な作戦戦略であり、イラン政権との対立で行き詰まる米国の足踏み状態を打破するものだ。
米軍がこの地域に展開する原則は、イランだけに限ったことではない。最近の報告によると、湾岸諸国を攻撃したミサイルの多くは、イラク国内の親イラン派勢力から発射されたものだという。犯行グループは街中の路地や車庫などに姿を消した。住宅地に潜む小規模または移動式の目標に対しては、無人機で対処する方がはるかに有効であり、特にイラクのような名目上は友好的な国を相手にする場合、周辺への被害を最小限に抑えることができる。
何よりも、ウクライナが湾岸地域に拠点を置くことで、大陸を越えて影響力を行使し、ロシアの国際的な戦略を無力化することができる。特に、ウクライナ侵攻でロシアを最も強力に支援するイランを近隣から直接攻撃できるからだ。バルト諸国や台湾でも、ウクライナとの同様の連携が進められている。
北極から中東や太平洋まで広がるロシアの広大な領土は、世界の片隅にいる同盟国を、地球の反対側で起きている紛争に投入できることを意味する。例えば、同国はウクライナ侵攻のために、北朝鮮の兵士や中国からの軍需物資を投入している。西側諸国が認めようとしなくても、ロシアは世界規模の戦争を戦っているのだ。ウクライナはこの課題に包括的に取り組んでいる唯一の国だ。同国が世界中で展開する「ドローン外交」は、これまで超大国にしか許されなかった手法で、自国の戦略的な必要性を巧みに操ることを可能にしている。


