北米

2026.05.28 12:30

ヴァンス米副大統領、教皇レオ14世によるAIへの警告を「非常に奥深い」と称賛

Brian Stukes/Getty Images

Brian Stukes/Getty Images

J・D・ヴァンス米副大統領は現地時間5月26日、NBCニュースとのインタビューで、AIのリスクについて厳しい警告を発したローマ教皇レオ14世の4万2000語に及ぶ回勅を「非常に奥深い」と称賛した。この数週間前には、ヴァンスはレオ14世による反戦発言をめぐって慎重になるよう警告していた。

2019年にカトリックに改宗したヴァンスは、回勅のすべてを読んだわけではないが、自身が目にした「断片的な部分」は「非常に奥深く、教会の指導者に期待し、望むような言葉だった」とNBCニュースに語った。

この回勅がAI技術の軍事利用に警鐘を鳴らしていることについて、ヴァンスは、「新しいテクノロジーと戦争」のただ中でカトリックの教えについて思考をめぐらせるレオ14世を称賛した。

この数週間前、ヴァンスは、イエス・キリストは「かつて剣を振るい、今日爆弾を投下する者たちの味方には決してならない」とのレオ14世の発言を受け、教皇が神学的な問題について発言する際には「慎重になる」べきだと警告していた。一方、ヴァンスのこの発言を受けた米カトリック司教協議会は、彼を非難する声明を発表している。

こうした称賛の声もある一方、ダグ・バーガム米内務長官は米国時間5月26日、フォックス・ビジネスの番組『Mornings with Maria』に出演した。司会者のマリア・バルティロモから、AIに警鐘を鳴らす教皇の回勅について問われると、「テクノロジーの論評をすることが教皇の役割の一部だとは知らなかった」と語った。

またバーガムは、膨大な量のエネルギーを必要とするAIデータセンターの建設について「人類にとってプラスである」と擁護し、AIデータセンターの建設がエネルギー供給を逼迫させ、価格を高騰させかねないとの懸念を退けた。その上で、一部の州でエネルギーコストが高いのは「天候に左右される不安定な電源(再生可能エネルギー)」といった「その州が推し進めてきた政策のせいだ」との見方を示した。

これに対しレオ14世は回勅の中で、AIが環境に与える影響について警告している。データセンターは「膨大な量のエネルギーと水を消費し、二酸化炭素の排出に重大な影響を与えている」と指摘し、「環境への負荷を軽減する、より持続可能な技術的ソリューション」を求めた。

25日に発表された4万2000語を超える回勅の中で、レオ14世はAI技術の開発について厳しい警告を発し、人間の尊厳を守るために規制を強化するよう世界の指導者たちに呼びかけた。『マニフィカ・フマニタス(偉大な人間性)』と題されたこの回勅の中で、レオ14世は、AI開発競争が現代版の「バベルの塔」を生み出しかねないと警告している。バベルの塔とは、1つの言語によって団結していた人類がその傲慢さと不遜さから天まで届く塔を建設しようとしたため、神が人々の言語を混乱させてその団結を打ち砕いたという、聖書の物語である。

数カ月前からイラン紛争を激しく批判してきたレオ14世は、AIが「紛争をより頻繁に引き起こし、より無機質なものに変えてしまう」可能性があると警告した。その上で、「技術的な軍拡競争を抑制し、民間人を確実に保護する」ための規制を求めた。さらに教皇は、このテクノロジーにおける道徳性の欠如について警告し、「計算によって道徳的な判断を下すことはできない。なぜなら、そこには良心や個人的な責任、そして他者をひとりの人間として認めることが含まれるからだ」と述べ、「生死に関わるような、あるいは取り返しのつかないような決定を人工的なシステムに委ねる」ことに警鐘を鳴らした。また、利益を最優先して雇用を犠牲にしているとしてテクノロジー業界のリーダーたちを批判し、AI競争を主導する企業を規制するよう呼びかけた。

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翻訳=江津拓哉

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