ドイツ自然写真協会(GDT)は、毎年恒例の「GDTネイチャー・フォトグラファー・オブ・ザ・イヤー」の2026年受賞作品を発表した。どれも、自然界の類いまれな美しさと多様さ、脆さを称えた作品だ。
スイス・アルプスの雪山に完璧に溶け込んで自分の姿を消したユキウサギから、霧が立ち込めて異世界のような雰囲気を漂わせる凍てつく森まで、2026年の受賞作品では、卓越した芸術性と、待ったなしの環境危機を訴える力が際立っている。
コンテストには世界各地から9000点近くの作品が寄せられた。部門は7つで、「鳥類」「哺乳類」「その他の動物」「植物と菌類」「風景」「自然のスタジオ」に加え、2026年は「生物多様性:自然の多様性の美と重要性」が新設された。
「GDTネイチャー・フォトグラファー・オブ・ザ・イヤー」コンテストを主催するGDTは1971年に創設された会員制の協会で、ドイツのほか26カ国の会員で構成されている。
総合優勝に輝いたのは、GDTユース・グループの一員で、ベルリンを拠点とする写真家ルカ・ローレンツによる印象的な1枚「White on White(白の中の白)」だ。ローレンツは、スイスアルプスの岩場にあるすみかの入口にたたずむユキウサギの姿をとらえた。真っ白な冬毛が雪景色にすっかり溶け込んで、どこにいるのかわからない。
ローレンツは、自分がいる場所から30mほど下にいるユキウサギを見つけ、過酷なアルプスの環境にすっかり同化してほとんど見分けがつかないその姿にカメラを向けた。視覚的な要素を徹底的にそぎ落としつつも、技術的に非常に優れており、注意深く見る価値のある1枚だ。
しかし、この作品は美しいだけではない。その裏には、気候変動に関するメッセージがこめられている。ユキウサギは、季節に応じて毛の色を変えて自分をカモフラージュする動物だ。冬になると毛が茶色から白へと生え変わるが、降雪頻度が減っていることから、雪のない地面で姿が露わになってしまうことがますます増えている。こうした、科学者の言う「色のミスマッチ」によって、ユキウサギは、キツネや猛禽類などの捕食者に狙われやすくなっている。
「ユキウサギが直面している大きな困難を考えると、そうした類いまれな動物たちの置かれた状況について関心を高め、研究を支援することが、これまで以上に重要となっています」とローレンツは話す。
GDTが毎年開催するこのコンテストは、写真の技術的および芸術的な功績をたたえるだけでなく、環境問題に焦点を当て、自然保護を推進するという目的も持っている。
GDTは声明で、「私たちの狙いは、生物多様性を守ることと、今の世代と未来の世代のために生物多様性を残し、親しみを持てるようにすることです」と述べている。
2026年の入賞作品からは、一つの力強いメッセージが伝わってくる。それは、「自然の美しさは、その脆さと表裏一体だ」というものだ。そして、このメッセージを世界に伝える上で最も説得力を持つ手段の一つが写真なのだ。
ネイチャー・フォトグラファー・オブ・ザ・イヤー:総合優勝
ユキウサギを探せ──森林限界よりはるか上のアルプス山脈で、ユキウサギは何時間もたたずんでいた。そこは小さな穴の入口で、凍てつく風からは、ほんの少ししか身を守れない場所だった。



