サイエンス

2026.06.03 12:30

なぜヒトに眉毛があるのか、汗を防ぐだけではない驚くべき機能

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眉がそこにあることを、私たちは忘れがちだ。眉は、眼の上に位置し、さほど注目を浴びることもなく、黙々と自分の仕事をこなしている。もちろん、なくなってしまったときは別だ。眉を剃り落としたあなたの顔は、誰だかわからないとは言わないまでも、奇妙で見慣れないものになるだろう。このように支障をきたすこと自体、眉が私たちが意識しているよりも、ずっと多くの役割を担っている証拠だ。

眉が存在する理由として、長いあいだ広く受け入れられてきた説明は、明白なものだった。眉は、汗や埃から眼を守るのに役立っている、というものだ。確かに、ある程度までは当たっている。しかし進化生物学においては、自明に思える説明は往々にして不十分だ。眉についても、研究者たちが掘り下げて検討するなかで、ようやくその全容が明らかになり始めた。

化石証拠、顔の形態学、実験心理学を統合することで、眉は、ただ眼を守るだけではない、極めて重要な存在であることが明らかになりつつある。これまでの研究から解明されたことを見ていこう。

眉は、ヒト属の「顔の変化」に伴って形成された

眉について理解するにはまず、人類の進化の過程で起こった、より大きな変化に目を向ける必要がある──ヒト属の顔そのものが、進化史のなかで全面的な変化を経験してきたのだ。

初期のヒト属(ホモ・ハイデルベルゲンシスやネアンデルタール人など)は、私たちとはまったく異なる顔つきをしていた。彼らの顔における最も顕著な特徴は、よく発達したひと続きの眼窩上隆起(頭骨の眼の上にある太く盛り上がった部分)だ。この構造はおそらく、眼に埃や汗が入るのを防ぎ、物理的衝撃から守る上で、大いに役立っていただろう。つまり、しばしば眉の存在意義とされる、基本的な「プロテクター」としての役割は、この隆起がすでに担っていたのだ。

しかし、現生人類は異なる進化の道のりを歩んできた。2019年に学術誌『Nature Ecology & Evolution』に掲載された論文のなかで、研究チームはホモ・サピエンスの顔に起こった一連の変化について論じた。彼らは、以下の二つを主要な変化として挙げている:

・眼窩上隆起の縮小

・中顔面(鼻と頬およびその周辺)の退縮

これらの変化は、外見を劇的に変化させ、顔の機能の構成も根本的に再編した。分厚かった眼窩上隆起が縮小したことで、眼の上に位置する軟組織の可動域が広がり、動きがよく目立つようになった。眉を上げたり、眉根を寄せたり、眉で弧を描いたりといった、それまでは不可能だった動作ができるようになったのだ。

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翻訳=的場知之/ガリレオ

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