大手競合はコストを理由に抗生物質不使用を撤回、パーデューは14年で完遂
パーデュー・ファームズは、2002年から2016年まで14年以上をかけて、すべての養鶏場を完全な抗生物質不使用へと切り替えた。タイソンなど大手競合は最近、コストを理由に、抗生物質不使用にするという自社の約束を撤回した。だが、ジムは、抗生物質不使用の飼育は実際には割高ではないと語る。同社は、農場で飼育する家禽の密度を下げ、鶏舎を清潔に保ち、換気と採光を確保するなど、複数の施策を組み合わせている。
ジムによると、こうした取り組みはすべて鶏肉の味を重視した結果だという。だが、それは収益性の向上にもつながっている。パーデュー・ファームズの鶏肉は、他の大規模生産会社よりも高い価格で販売されている。フォーブスの推計では、同社のEBITDA(利払い前・税引前・減価償却前利益)利益率は15%を超える。タイソンの6%、JBS傘下のピルグリムズ・プライドの7%を上回る。この利益率の余裕があるため、パーデュー・ファームズは農業ビジネスにつきものの市況変動の波にも耐えられる。
「うちの鶏肉は、世間で最も安いものではない」とジムは率直に語る。
フォーブス推計で一族の資産は8000億円超
こうした事業の積み重ねは、フォーブスが50億ドル(約8000億円)超と推計する一族の巨大な資産を生み出した。その内訳には、40億ドル(約6400億円)の同社株式の持ち分の価値だけでなく、2005年以降に支払われた配当が含まれる。「配当の支払いは、家族の結束を保つためだった。父は会社のことだけを考えていた。1セントでも多く、事業に戻したいと思っていた」とジムは語る。
パーデュー家は今も同社株式の100%を保有しており、ジムは3人の姉妹、その子ども、孫とともに株式を保有している。現在、パーデュー家の一員は約50人に上り、その中には同社で働く4代目の5人も含まれる。同社は現在、創業家以外から起用された3人目のCEOであるケビン・マクアダムズが率いている。
「我々は皆、この事業を一時的に預かっているだけの存在だ。だからこそ、困難なことにも進んで取り組む覚悟がある」と、4代目のクリス・オリビエロ(52)は語る。以前、ニマン・ランチを率いていた彼は現在、パーデュー・ファームズで商業戦略・事業計画担当シニアバイスプレジデントを務める。
ジムは1940年に大学を中退し、祖父が営んでいた小さな会社を引き継いだフランクこそが真の先見性を持った人物だったと考えている。実際には、このファミリービジネスの舵を取ってきたのはジム自身だ。穀物市況の変動は競合他社を破綻に追い込み、急速な業界再編、鳥インフルエンザの脅威、トランプ政権の関税による中国向け大豆販売の停止も相次いだ。ジムは、こうした難局が続いた40年近くを乗り越えてきた。


