「全て、本部連携」──再生専門チームが組織の横串を刺す
──事業者への理解浸透や、今後の活用に向けた課題についてはどうお考えですか?
山口:当行でも25年12月に営業店へ企業価値担保権について一斉に通達するなどにより、社内周知を始めていますが、やはり実際に1件目、2件目の実例が積み上がってこないと、なかなか営業店においても実感が湧きづらい部分はあると思います。
何より、企業価値担保権を言葉や資料だけで伝えるのは本当に難しい制度です。「担保権」という名前がついている以上、お客さまも「また新しい担保を取られるのか」と身構えてしまいます。だからこそ、何度も言うように「これは今までの保全のための『担保』ではない。一緒になって企業価値を高めるためのツールである」という考えを、丁寧に伝えていかなければなりません。
もちろん制度である以上、引き当ての問題やテクニカルな設計、そして小さな規模の案件に対してどれだけモニタリングのコストをかけられるかといった現実的な課題はあります。だからこそ、本制度が開始される際の体制としては営業店任せにはせず、「全て、本部と連携する」という形を取ります。我々のような専門知識を持つ人間が横串を刺して、本当に必要な資金なのかどうか、どうすればこの仕組みを正しく活用できるかを一案件ずつ丁寧に見極めていく方針です。
──取引先の「見えない価値」を評価する際、営業部門と審査部門での共通の「モノサシ」はありますか?
山口:審査におけるモノサシがあまり綺麗にあってはいけないと思います。綺麗なモノサシや一律のルールを一旦作ってしまうと、そこで「考えること」を止めてしまいがちです。「ルールベースの担保がこうなっているから、融資はできません」となってしまったら、硬直的な判断に陥ってしまいます。それよりも、お互いにリスクベースでアプローチし、今まで培ってきた経験と照らし合わせながら「この形ならチャレンジできるのではないか」と挑み続ける意識を持ち続けることのほうが大事です。


