リライアンスはシステムのさらに下へと掘り進めた。まず、ポリエステル長繊維糸の生産に投資した。次に、ナフサを分解してポリエステルを作る化学処理プラントを建設した。数十年にわたり、リライアンスは多くの繊維企業が考えもしない能力を着実に築き上げた。そして今度は、自社製品を他の繊維生産者に販売した。
1990年代までにリライアンスはガソリンを公開市場で販売しながら自社製品の製造に投入する原材料も生み出す大規模な石油化学プラントへと拡張していた。繊維事業として始まったものが、複数事業から成る統合スタックへと変貌しつつあった。1999年に同社初の製油所が稼働を始め、これにより同社は、原油から紳士服に至るまでのシステムを制御できるようになった。自社のポリエステル事業を支えるための後方統合として始まった取り組みは、いまや世界最大級の精製石油製品の輸出事業となり、ガソリンや軽油、ジェット燃料を100カ国以上に販売するまでになった。
拡張を評価する3つの要因
確かに、Amazonとリライアンスはいずれも、そうした拡張に有利な環境で成長したからこそフルスタック戦略を展開できた。20世紀後半のインドは、少数の寡占家族にとっての保護された遊び場であり、何かしらの事業を展開していれば別の事業を始めるのが容易だった。対照的に、過去30年の米国のEコマースは、ネットワーク効果の力と、自由放任的な規制環境をテック企業に与えた。
また、うまくやった人々だけを取り上げているという点で、ここには生存者バイアスも含まれる。結果が変革的になり得る一方で、壊滅的になり得ることもある。多くの場合、それはただ痛みを伴う気晴らしに終わる。未来志向の一手と高くつく失策の違いは、しばしばいくつかの基底要因に帰着する。
自社の事業をスタックの一部として捉えることは、誰に価値を生み出そうとしているのかを定義することから始まる。従来と同じ顧客に資する事業拡張は、成功確率が高い。だが場合によっては、最大の顧客がスタック上の別のプレイヤーであることもある。Amazonの小売顧客はロジスティクスサービスを必要としていなかった。しかしAmazonは必要としており、そのプラットフォームに依存する何百万もの出品者も必要としていた。必要があったのはエンド消費者ではなく、エコシステムの側だった。
次に考えるべき要因は、自社の能力である。能力には2つの形がある。資産と実力だ。資産とは所有しているもの。実力とは得意なこと。多くの企業は資産から出発し、隣接市場へどう拡張できるかを問うことで、すでに持っているものを引き延ばそうとする。だが原則として、資産よりも実力のほうが重要である。そしてフルスタックの構築には、まだ持たない資産を築くことが求められることが多い。


