サイエンス

2026.05.31 18:00

世界でわずか2パーセント、「緑色の目」を持つ人が極めて少ない理由を進化生物学者が解説

stock.adobe.com

stock.adobe.com

混み合った部屋を見回して緑色の目を持つ人を1人でも見つけようとすれば、ほぼ間違いなく苦労するだろう。

この希少性は偶然ではない。緑の目は地球上で最も珍しい目の色であり、世界人口のうち保有者は約2%にすぎない。茶色い目の人がおよそ79%、青い目が8〜10%であるのに比べれば、その珍しさは明らかだ。しかし本当に問うべきなのは、緑の目がなぜ珍しいのか、だけではない。そもそも、明るい色の目がなぜ存在するのか、である。

その答えを求めると、数万年前に大陸をまたいで移動を続けていた、私たち現生人類(ホモ・サピエンス)の祖先へとさかのぼることになる。だが多くの人を最も驚かせるのは、人類史の大半において、実質的にほぼ全員が暗い目の色だったという事実だ。古代DNA(古代人の骨から抽出したDNA)は、今日では明るい目の色と最も結び付けられやすいヨーロッパ人の多くでさえ、約6000年〜1万年前までは濃い肌色・濃い髪色・濃い目の色をしていたことを示している。淡い色素は、古くからある原初的な形質ではない。進化の観点からいえば、新しいものである。

では、何が変化の原動力となったのか。正直なところ、科学者たちはいまなお、その答えを議論している。最も多くの根拠に支えられた、競合しつつも互いに補完的な説明が2つあり、どちらも一見したほど単純ではない。

1. 緑の目はより多くの光を取り込めるのかもしれない

1つ目の説明は神経学的なもので、基本的な解剖学的事実から始まる。すなわち、明るい色の虹彩はより多くの光を通すという事実だ。一部の研究者は、明るい色の虹彩は低照度条件下で眼内の光散乱をより強め、網膜が受ける光の量を増やし得ると主張している。

網膜への光の入力は、松果体を介した概日リズム(約24時間周期の体内時計、サーカディアンリズム)のシグナルの伝達とメラトニンの調節に直接影響するため、色素の進化的変化は、その後段に神経内分泌的な影響をもたらした可能性がある。米生物人類学雑誌『American Journal of Biological Anthropology』に掲載された2022年の研究で研究者のマーク・ルコックは、人類の色素進化はより広範な概日リズムおよび光生物学的システムと相互作用していた可能性が高いと論じた。

適応の論理は地理から導かれる。淡い目の色が集中的に見られるようになった北ヨーロッパの集団は、毎年数カ月をほぼ暗闇の中で過ごしていた。季節性情動障害(SAD、冬の日照不足によって引き起こされる抑うつ症候群)は、文明が発達する前の過酷な自然環境においては単なる不便にとどまらなかった。

次ページ > 人間は緑の目をより魅力的だと感じる可能性がある

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事