人々はあらゆることで論争を繰り広げる。だが、これだけは例外だ。子どもの食べ物に化学物質で色をつけてほしくない──この点では意見が一致している。そして、それは正しい。
しかし、食品から着色料を排除しても、食生活が抱える問題は解決しない。
これが「クリーン」という幻想である。人々は最も目につく成分を取り除き、ほかはすべて同じままにして、それを「進歩」と呼ぶ。
私たちは、食品を実際に健康的にすることなく、より安全に「見せる」やり方には非常に長けている。
最近の世論調査によると、成人の79%が8種類の人工食品添加物を段階的に廃止する米国食品医薬品局(FDA)の計画を支持しており、76%が購入する製品に含まれる食品着色料に懸念があると回答した。しかし、購入時に食品着色料やその他の成分に注意を払っていると答えた人はわずか30%にとどまった。
知識と行動のギャップ
人々は着色料をなくしてほしいと言いながら、それを含む製品を買い続けている。問題は知識不足ではなく、知識と行動のギャップである。
別の調査では、標準的な食事が子どもにとって健康的だと答えた親は3人に1人にすぎなかった。それにもかかわらず、家庭で別の食事法を試したことがある人はごくわずかだ。子どもに与えている食べ物の多くが健康的でないことは知っている。だが、その知識が買い物カゴの中身を大きく変えるには至っていない。
認知は行動を変えない。環境でしか変わらない。私たちは自分の価値観に基づいて買い物をしていると思いがちだが、実際には習慣で買い物をしている。そして習慣は、意志の力ではなくシステムによって形成される。
例えば、着色料不使用のドリトス(スナック菓子)は健康的な食品ではない。それは単に少し色が控えめになったドリトスにすぎない。もし「進歩」の定義がベージュ色のチートス(スナック菓子)だとしたら、ハードルの設定が低すぎるだろう。
着色料不使用のフルーツループ(シリアル)も、結局のところはフルーツループだ。米国では定番のインスタント食品であるマカロニ&チーズの箱から人工着色料を取り除いても、それが健康的になるわけではない。
着色料の排除はラベルをきれいにするだけで、食生活をきれいにするわけではない。
食品着色料を禁止しても、行動変容とより広範な規制、そして健康的な選択肢に誰もがアクセスできる環境がなければ「Make America Healthy Again(アメリカを再び健康に、MAHA)」運動は実現しない。



