オレ=ヒロンの作品もまた、アールデコ様式の建築物からインスピレーションを得ている。ウィルシャー大通り5207番地に建つ「デコ・ビルディング」だ。ブラックとゴールドを使用したファサードなどに取り入れられた「ジグザグ」のデザインが特徴のビルは、1920年代に建設されたもの。もともとはセキュリティ・ファースト・ナショナルバンクが入居していた。
オレ=ヒロンは作品について語ったYouTubeの動画で、「暗に『前にも後ろにも同時に進む』という考えを表すようなジグザグのデザインに魅了された」と述べている。
インスタレーションには、水平のラインと三角の形が描かれている。それらは地平線を思わせるものでもあるという。列車の線路や地下鉄のトンネルが目の前に描くラインのように、一点に向かい、収束し、地平線につながっている。また、図形を描いたようなその作品の中で交わる円と線が伝えるのは、絶え間ない動き、永遠に続く前進の感覚だ。
LAメトロのシニアマネージャー、ホリー・ハンプトンは、「この作品には、優美で神秘的な雰囲気がある」と語る。「1日のうちでも、日光の当たり方によって変化する不思議な魅力があるのです」。
これら3駅ではそのほか、マリアナ・カスティーリョ・デバル、ケン・ゴンザレス・デイ、スー・キム、フラン・シーゲル、スーザン・シルトン、マーク・ディーン・ヴェカの作品を見ることができる。
メトロ利用者たちも「アート」に
LAメトロは、3駅に設置した作品を通じてLAの多様性をたたえると同時に、地元のアーティストがD線を頻繁に利用する人たちを描いた46作品を掲載した『Portraits of Metro Riders by Local Artists』を公開している。
それらの作品はLAメトロの「アート・パッセージウェイ・ギャラリー」に展示されているほか、メトロ・アートバスの車体やTAP Card(タップカード、LAの公共交通機関用のプリペイドカード)に描かれている。
そのうちの1作品、男性のポートレートと航空会社のパンフレット、コロンビアとカリフォルニアに生育する植物の図柄を重ね合わせたキャロリン・カスタニョの『Traveler』は、「ロサンゼルスに流れ着いた人、探検しに来た人、移住した人、ノマドやツーリストたちをたたえるもの」だという。


