LAメトロのYouTube動画の中でヘンデルは、自身の作品における手とモノのつながりは、「空間的、時間的に広がりあるもの」だと述べている。エスカレーターを上がったところに描いた「手」は、1911年に着手されたものの、未完のまま放棄されたフランツ・カフカの長編小説、米国に移住した親戚の話からインスピレーションを得たとされる『失踪者』を持っている。
それらの作品を「素早く、そしてゆっくり」体験してもらいたいと語るヘンデルは、さらに次のように語っている。
「ほんの何秒か見ただけなら、ただ『いいね』と言うかもしれません。ですが、近づいて見ると、「ああ、『手描きなんだ』と言うでしょう。それがわかる、あらゆる『跡』がありますから」
これら3駅に設置されているのは、大半が金属の表面にガラス質の釉薬を焼き付けた琺瑯(ホーロー)の作品。ガラスがもたらす光沢が作品をより美しく見せるホーローは、腐食や擦り傷、色あせだけでなく、落書きへの耐久性も非常に高くなっている。
ラ・シエネガ駅:アールデコ様式の建築が魅了
アーティストのトッド・グレイは、ラ・シエネガ駅を青と白、そしてグレーに覆われたインスタレーション作品に変えた。歴史ある「サバン・シアター」の設計図の原本を基にしたその作品のタイトルは、『Mining the Archive: S. Charles Lee, Architect(アーカイブのマイニング:建築家S・チャールズ・リー)』。リーが設計を手掛けたアールデコ様式のこのクラシックな劇場は、1930年に「フォックス・ウィル・シャーシアター」として開業した。
鮮やかな青や藍色に近い青の設計図を基に描かれた完成予想図から着想を得たグレイの作品には、駅周辺の地域で入手することができる伝統的な織物(布地)の柄が取り入れられている。日常的に使用されているそうした布地の柄を設計図に「織り込んだ」ことは、作品を人々の実体験に根付いたものにしている。
YouTube動画の中でグレイは、ウィルシャー大通りに立ち並ぶ高層建築物に取り囲まれたサバン・シアターに、「魅了された」と話している。劇場、そしてその中に使用されたカーテンや生地、じゅうたんのデザインなどがわかる写真もまた、駅内部の壁に描き出されている。利用者たちには、建築がいかに「文化を形作ってきたか」ということを感じ取ってもらいたいという。
ラ・ブレア駅:デザインで「前進」を表現
ラ・ブレア駅で利用者たちを出迎えるのは、鮮やかな黄色や金色とミントグリーン、そしてブルーを取り入れたイーモン・オレ=ヒロンの『Infinite Landscape: Los Angeles Para Siempre(無限の景色:ロサンゼルスのパラ・シエンプレ)』だ(パラ・シエンプレは「永遠」の意味)。


