ロラス・カレッジが基金の70%を借り入れて延命
その一例が、アイオワ州ダビュークにあるカトリック系校のロラス・カレッジだ。同校は1839年創立で、学部生は1151人。公式サイトでは、入学希望者に向けて「誠実さを大切にし、温かさを放ち、揺るぎない高潔さを守るコミュニティの一員になろう」と呼びかけている。
しかし、同校の財務状況は厳しい。UNAEPのマイナス幅は拡大しており、2024年のマイナス3300万ドル(約-52億4700万円)から、2025年にはマイナス5100万ドル(約-81億900万円)に悪化した。学生数の減少、長年にわたる運営赤字、貸し手であるミッドウェストワン銀行に対する債務不履行も抱えている。それにもかかわらず、同校の経営陣は最新の監査済み財務諸表で、いわゆる「継続企業の前提(ゴーイングコンサーン)」に関するリスクを否定している。
大学側は2026会計年度に、6000万ドル(約95億4000万円)の基金から少なくとも4200万ドル(約66億7800万円)を借り入れる方針だ。これは基金全体の70%に相当する。同校は、寄付者からの積極的な資金調達とコスト削減によって、この資金を穴埋めしたい考えだ。
「ばかげた話だ。彼らは資金調達でこの状況を抜け出すことはできない。新入生を受け入れていること自体が信じられない。理事会は訴えられるべきだ」と、元監査人で学校のCFOも務めたマゾーンは語る。
ライダー大学は教員の25%を解雇し、キャンパスを売却
だが、生き残りのために基金を食いつぶしている大学はほかにもある。ニュージャージー州ローレンスビルにあるライダー大学もその1つだ。同校はフォーブスの財務評価でDとなっており、学生数は3700人、合格率は80%近い。すでに認証評価機関から財務面で保護観察処分を受けている同校は最近、教員の25%を解雇し、給与を14%削減した。学長公邸を含むキャンパスの56エーカー(約22万7000平方メートル)を1000万ドル(約15億9000万円)で売却することにも合意した。
財務上の理由で4校が閉校に追い込まれる
マゾーンは、地域社会に何世代にもわたり根ざしてきた小規模大学の閉鎖が、今後速いペースで進むと見ている。すでに2025年のリストに入っていた複数の大学が、事実上の撤退に追い込まれている。フォーブスのランキングからは、次の4校が姿を消した。マサチューセッツ州クインシーのイースタン・ナザレン・カレッジ、ウィスコンシン州のノースランド・カレッジ、ノースカロライナ州のセント・アンドリューズ大学、サウスカロライナ州のライムストーン大学だ。いずれも財務上の理由で閉校した。
高等教育市場が通常の自由市場のように機能していれば、小規模・中堅大学の合併が相次いだり、それらをまとめて再編する動きが出たりしても不思議ではない。だが、実際には、ほぼ同じ教育サービスを提供する大学が多すぎる上、非営利法人としてのガバナンス構造は法的に複雑だ。そのため、存続できる大学にとっては、いずれ破綻する大学を丸ごと統合するよりも、その学生を受け入れるだけの方が簡単で、コストも抑えられる場合が多い。
ノースイースタンやヴァンダービルトが経営難校を統合
一部の有力大学は、経営難に陥った大学との統合を通じて、巧みに教育プログラムを広げている。ノースイースタン大学(B評価)はその一例だ。同大学は債務を引き受ける一方で、基金資産や不動産も手に入れる。
2022年には、ミルズ・カレッジを統合した。同校は2億5000万ドル(約397億5000万円)の基金と、カリフォルニア州オークランドにある歴史ある125エーカー(約50万6000平方メートル)のキャンパスを持っていた。ノースイースタン大学は、最近発表したメアリーマウント・マンハッタン・カレッジ(D評価)の統合でも同じ手法を取り、「ノースイースタン・ニューヨークシティ」を設立する。ナッシュビルのヴァンダービルト大学(A+評価)は2027年、経営難にあるカリフォルニア芸術大学(D評価)のサンフランシスコ校舎と、その価値が高い不動産を引き継ぐ予定だ。
しかし、残念ながら、救済を必要とするすべての小規模大学を救えるほど、ノースイースタン大学やヴァンダービルト大学のような「白馬の騎士」は多くない。マゾーンによると、多くの大学の学長が自校の問題を認識するころには、すでに手遅れになっていることが多い。
「これは一時的な問題ではない。高等教育市場は長期的な低迷局面にある。多くの大学経営陣は、市場が低迷しているときに何をすべきかを理解していない」とマゾーンは語った。


