経営・戦略

2026.06.04 17:00

背景は高校卒業者数の急減と杜撰な経営、寄付基金を崩し支払い不能をしのぐ米私立大学

stock.adobe.com

基金を年17〜29%取り崩し、ハンプシャー・カレッジが閉校

その例の1つが、フォーブスの財務評価でDとなっているマサチューセッツ州の進歩派リベラルアーツの牙城、ハンプシャー・カレッジだ。同校は、創立から60年にわたり、ケン・バーンズ、マイケル・ポーラン、ルピタ・ニョンゴといった著名な卒業生を輩出してきたが、最近、2026年末で運営を停止すると発表した。

advertisement

同校のUNAEPは2024年に900万ドル(約14億3100万円)のマイナスに転じた。慢性的な年間運営赤字を抱え、2100万ドル(約33億3900万円)の債券債務の返済にも苦しんでいたためだ。監査済み財務諸表によると、同校は2021年以降、運営費と債務返済を賄うため、すでに2600万ドル(約41億3400万円)まで減少していた基金から、毎年17〜29%を取り崩していた。多くの大学が基金からの取り崩しを通常、年5%以下に抑えていることを考えると、これは非常に高い水準だ。統一機関資金慎重管理法(UPMIFA)では、7%を超える取り崩しは不適切と見なされ、州司法長官の調査対象になる可能性がある。

約138億3300万円のマイナスでも巨額基金でタルサはB+

タルサ大学は少なくとも過去10年にわたり、赤字とUNAEPのマイナスが続いている。2025年のUNAEPは8700万ドル(約138億3300万円)のマイナスに達した。それでも同校は、石油マネーに支えられた13億ドル(約2067億円)の基金を持っている。これはフルタイム学生1人あたり36万8000ドル(約5900万円)という非常に大きな規模だ。タルサ大学は寄付金に手をつけながら、身の丈を超えた運営を今後10年以上続けることができる。

タルサ大学の在学生数は減少が続いており、2020年の4172人から2025年は3475人に落ち込んだ。それでも、手元に残る石油マネーの存在が大きく、フォーブスは同大学の財務健全性をB+と評価している。

advertisement

フォーブス、基金の食いつぶし度合いを評価基準に加える

私立大学の間で、支払い能力を超えた支出に頼るような運営が広がっていることを受け、フォーブスは財務評価の手法を見直した。ヘンドリックスのパースペクティブ・データ・サイエンスの協力を得て、フォーブスは3年平均のUNAEPを経費で割った比率を算出し、10項目からなる評価体系に加えた。この指標の比重は現在、最高水準の15%に設定している。これは、フルタイム学生1人あたりの基金資産に与えている比重と同じだ。

この指標を使うことで、どの大学が健全に運営されているのか、どの大学が放漫な支出によって基金を食いつぶしている可能性が高いのかを見極めやすくなる(評価の算出方法は、フォーブスの別記事に掲載している)。

フォーブスのリストでは、3年平均のUNAEPを経費で割った比率がマイナスになっている大学が192校に上った。その多くは、大都市圏の外にある財務評価Dの小規模校だ。こちらでは「経営危機に瀕する20大学」の表にまとめられている。ただし、UNAEPがマイナスの大学には、比較的よく知られた大学も含まれる。バーモント州のベニントン・カレッジ(Cマイナス)、ワシントンDCのハワード大学(B)、ニューヨーク市のイェシーバ大学(Cマイナス)とペース大学(D)などだ。

ロードアイランド州プロビデンスのコンサルティング会社FuturEDFinanceのレベカ・マゾーンは、こう語る。「この数字がマイナスで、しかも赤字を出しているなら、その大学は基本的に、すでに資金繰りの限界に近づいているということだ」。同社は大学学長向けに再建戦略を助言している。「これは、返済する能力がないのに、どこかから資金を借りていることを意味する。借入枠であれば、いずれ限度額いっぱいまで使い切る。あるいは、寄付者から受け取った1000万ドル(約15億9000万円)を基金に入れていなかった、という可能性もある」。

次ページ > ロラス・カレッジが基金の70%を借り入れて延命

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事