経営・戦略

2026.06.01 17:30

25歳ユニコーン、ハリウッド初の「AI映画スタジオ」実現へ 2026年版【Forbes 30 Under 30】

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商業的に成立した事例がなく、空白の長編市場の独占を狙う賭け

現時点では、AI制作への投資は、確実に成功が見込める事業というより、はるかに投機的な賭けに近い。AIを使ったストーリーテリングの作品が商業的に成立した事例は、長編映画はもちろん、1話分の長さの作品でさえまだ存在しない。

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「長編コンテンツの市場は、今は完全に空白地帯だ。我々は、長編コンテンツ市場全体を本気で独占したいと考えている」と、2026年版 Forbes 30 Under 30に選ばれたシェンは語る。

独自プラットフォーム公開から60日で獲得した、約17億4900万円の収益

シェンが大きな期待をかけているのが、Utopaiが3月に公開した独自のストーリーテリング・プラットフォーム「PAI」だ。シェンは、PAIが市場の新たなリーダーになると見込んでいる。このプラットフォームは手続き型生成(procedural generation)のコンテンツエンジンを備えており、キャラクターモデルを1度設計すれば複数のシーンで使い回せる。映画制作者はこのプラットフォーム上で、カメラアングルを選び、演技や背景環境を編集し、シーン全体を再レンダリングせずに試行錯誤を重ねることができる。

PAIの公開から最初の60日間で、Utopaiは世界各地の複数の制作会社にこの技術をライセンス供与し、1100万ドル(約17億4900万円)の年間経常収益を獲得した。シェンは、海外には多くの顧客がいると見ている。米国でも、消費者向けブランドや他のスポーツ選手がアンソニーに続き、自らコンテンツ制作に乗り出せば、顧客は広がる可能性がある。NBAの別のオールスター選手であるジェームズ・ハーデンも4月、短編アニメーション動画でUtopaiと提携した。

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独自の映画・テレビ作品に資金を投じるスタジオ「Utopai Studios」へ

同社の売上高は、2024年の75万ドル(約1億1925万円)から、2025年上半期には推定750万ドル(約11億9250万円)へと伸び続けていた。それでもシェンは2025年8月、単なる技術提供会社のままでは、自らの野望を実現することは不可能だと判断した。そこで、Cybever AIをUtopai Studiosに改名し、独自の映画・テレビ作品に資金を投じる計画を打ち出した。

「外部にツールを売る次世代のVFX企業のような立ち位置は、まったく魅力的ではない。単なる技術提供会社のままでは、100億ドル(約1.59兆円)企業にはなれない。スタジオになる必要がある」とシェンは語る。

共同CEOを迎え、映画化が不可能とされた歴史大作の権利を持つ

ハリウッドの信頼を得るには時間がかかり、人脈も必要になる。そのためシェンは、マルコ・ウェーバーを共同CEOとして迎えた。ウェーバーはインディペンデント映画界で長く活動してきたプロデューサーで、エメリッヒが指揮を執るSFテレビシリーズ『Space Nation』のIPを保有していた。オスカー候補歴のある脚本家ニコラス・カザンが手がけた長編歴史大作『Cortés』の権利も持っていた。

カザンは長年、ハリウッドのスタジオから、この作品の映画化が不可能だと言われ続けてきた。「以前からずっと不可能だと言われていた。規模が大きすぎる、費用がかかりすぎる、とにかく何もかもが『過剰』だと言われ続けてきたんだ」とカザンはプロジェクトの発表時に語った。

しかしウェーバーは1月にUtopaiを離れ、自身の制作会社Ex Machina Studiosを立ち上げた(同社もトム・ライアンの出資を受けている)。ウェーバーは『Space Nation』の株式の過半数を保有し、残りはUtopaiが保有する。Utopaiは今後も共同プロデューサー兼技術提供会社として同作に関わり、利益の一定割合を受け取る。同時に、自社が完全に所有する作品である『Cortés』や今後の作品を立ち上げるために何が必要なのかを、短期間で学ぶことになる。

次ページ > 人員30〜40人、1作品を約15億9000万円未満で制作

翻訳=上田裕資

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