──私たちが超富裕層から学べることはなんでしょうか。幸福度を高めるために不可欠だと思われる考え方や習慣はありますか。
キリングスワース:ひとつの教訓は、先ほど述べた「お金は、コントロール感を高めることを通じて幸福を『買っている』ように見える」という発見だ。もしあなたが自分の人生を強くコントロールできていると感じ、本当に望む生活を営んでいるなら、お金持ちにならなくても、お金が「買う」幸福を手にしていることになる。実際、自分の人生に対して同程度のコントロール感をもっている人々を比較すると、もっているお金の多寡は幸福度にほとんど影響を与えない。実は、個人のコントロール感のうち、お金に起因するものはわずか20%程度に過ぎないのだ。つまり、並外れた富がなくても、人々が自分の人生をコントロールできる余地は十分にあるということだ。
──人間が真の幸福を達成するために、多額の富は不可欠だと思われますか。
キリングスワース:決してそんなことはない。お金の価値は大部分がその希少性に由来する。もし全員をビリオネアにしたら、実質的に誰もビリオネアではなくなってしまう。対照的に、良好な結婚生活、定期的な運動、精神的な回復力といったほかの幸福要因は、お金のように本質的に制限されているものではない。むしろその逆で、周囲の人々が満たされた生活を送っていれば、私たち全員の幸福度も高まる可能性が高い。そのうえで、私はお金の何がより大きな幸福を生み出すのかを深く理解し、それらの恩恵をできるだけ多くの人々が享受できる方法を見つけたいと考えている。
マシュー・キリングスワース◎ペンシルベニア大学ウォートン校上級研究員。デューク大学で工学と経済学の学位を取得後、ハーバード大学で心理学の博士号を取得。人間の幸福について研究している。世界中の人々からスマートフォンを使ってリアルタイムの幸福度データを収集する大規模研究プロジェクト「trackyourhappiness.org」を創設。


