在宅勤務の選択肢の影響
在宅勤務の選択肢は育児や家事の負担をより多く担いがちな母親にとって特に有益だとみなされることが多い。だが新たな研究は、在宅勤務のメリットは単なる柔軟性にとどまらないことを示唆している。
欧州の経済政策研究センター(CEPR)の調査によると、リモートワークと出生率上昇の間には関連性がありそうだ。38カ国の調査データを分析した結果、少なくとも週に1回在宅勤務をする成人は子どもを持ちたいという意向が強く、実際の子どもの数が多いことがわかった。カップルの双方がこうした柔軟性を有する場合、生涯出生率は調査対象38カ国全体で推定14%(女性1人当たり0.32人増)、米国のデータでは18%(女性1人当たり0.45人増)上昇していた。
この研究結果は「在宅勤務と高い出生率の間に関係がある」ことを示しているにすぎず、必ずしも在宅勤務が出生率の上昇を引き起こすことを直接示しているわけではないということを認識しておきたい。柔軟性の高さが子どもを持とうという気持ちを促している可能性もあるが、家族を持つ予定の人ほど在宅勤務の選択肢がある職場を求める傾向が強いという説明も考えられる。
全米経済研究所(NBER)の作業文書では、特定分野における在宅勤務の選択肢の増加が、その分野で働く母親の数にどう影響したかが分析された。
技術の進歩により、大学の一部の専攻分野ではリモートワークが容易になり、ある種の職業では少なくとも一部を在宅で行えるようになった。マーケティングや金融などの分野では従業員は少なくとも時折、あるいは夜間に在宅勤務できる選択肢を持つようになり、常にオフィスで働く必要がなくなっている。一方、薬学や教育などの分野は柔軟性が低い。
研究者たちは、以前より多くの母親が在宅勤務の選択肢が多い分野に移っていることを明らかにした。在宅勤務の可能性がわずかに高まるだけでも母親の就業率の上昇につながっていた。この影響は長時間労働で勤務時間の柔軟性が乏しい職業で特に顕著だった。
女性たちを長期間にわたって追跡した結果、母親にとって別のメリットも明らかになった。出産前からリモートワークの機会があった女性は出産後に職場を離れる可能性が著しく低かった。
母親たちの仕事での成功を左右する要素
最後に、専門誌『Community, Work & Family』に掲載された研究は、多くの働く母親たちがすでに知っていることを裏付けている。つまり、仕事での成功は支援体制に大きく左右されるということだ。
研究者たちは、母親となることがキャリアに与える影響を調べようと英国の学術機関で働く7300人超の女性を対象に調査を行った。その結果、手厚い産休制度があり、信頼できる長期の保育サービスの利用が可能であることは収入の増加やキャリアアップにつながることが明らかになった。日々の支援も重要だった。上司が理解を示してくれる場合、母親たちの仕事の満足度は高かった。家庭においては、協力的なパートナーの存在が仕事上の成功に大きな違いをもたらしていた。


