収入増で母親の家事は減るが、精神的負担はそのまま
別の研究では、母親の収入が増えるほど母親の家事の量は減ることが示されている。だが、家庭を支える見えない仕事である精神的負担は減らない。
専門誌『Social Psychology Quarterly』に掲載された研究では、2000人以上の親に歯科受診の予約から子どもの散髪を気にかけておくことまで、日々の雑事をどちらの親が担っているかを尋ねた。また、掃除や洗濯、育児といった肉体的な家事を誰が担当しているかも尋ねた。
その結果、より多くの時間を仕事に費やし、収入も多い母親ほど肉体的な家事は少なくなるものの、家庭を支える目に見えない精神的労働の大部分を依然として担っていることがわかった。著者たちはその理由として「認知的粘着性」を挙げている。こうした目に見えない責任は一度母親に割り当てられると、そのまま定着してしまいがちだ。
研究結果はまた、精神的な負担を誰かに委託することの難しさも示唆している。家の掃除をしてくれる人を見つけるのは簡単でも、誰かに家事全般を管理できるようになってもらうのははるかに難しい。
「母親であることの優位性」
多くの研究は母親になることによるキャリア上のマイナス面に着目している一方で、専門誌『Journal of Applied Psychology』に掲載された新しい研究は職場における「母親であることの優位性」が示唆される証拠を発見した。
研究者たちは従業員600人以上を調査し、親、特に母親は自分の仕事を家族との関係において有意義なものとしてとらえる傾向が強く、責任感や勤勉さ、誠実さといった価値観を子どもたちに示す手段として見なしていることが分かった。こうした考え方を持つ人は仕事に熱心に取り組み、同僚を助けたり正式な職務範囲を超えて働いたりするなど、より前向きな行動を取っていた。こうした仕事上の好ましい成果の一部は本人による自己申告ではなく上司からの報告によるものであり、その効果は他者にも認識できるほど顕著であることが示唆されている。また、この傾向は米国と中国の研究で確認されており、文化を超えて共通する可能性がある。


