仕事のストレスと職場の燃え尽きが極限まで高まり、感情の過負荷から逃れるためにオフィスのトイレへ避難する従業員が増えている。この傾向はあまりに一般的になり、職場のバズワードにまでなった。「レストルーム・ラーキング(トイレへの避難・潜伏)」だ。これは、従業員が用を足すためだけでなく、気持ちを落ち着ける、泣く、スマホをスクロールする、冷静になる、あるいは職場のプレッシャーから数分逃れるためにオフィスのトイレへ退避することを指す。
職場の落ち着きが失われるなかで増える「トイレに避難」
職場の落ち着きは、いまや絶滅危惧種になりつつある。何十年もの間、仕事の文化はスピード、緊急性、途切れない即応性を求めてきた。理想の従業員とは、延々とマルチタスクをこなし、メールに即答し、休みなく会議を渡り歩き、「常時オン」の状態でいられる人だった。「境界線のない労働時間」や9-9-6勤務(午前9時から午後9時まで週6日働く過酷な勤務形態)のような雇用側の要求は、2026年に職場の不安と燃え尽きをいっそう強めている現状がある。
Thrive Globalのアリアナ・ハフィントンCEOは、現代の職場では落ち着きが不可欠だと語る。「ストレスを感じ、闘争・逃走モードに入ると、成功に必要なあらゆる資質、意思決定、創造性、協働、問題解決が機能停止してしまう」
正看護師(RN)で、Write a New Storyの創業者、マスター認定プロフェッショナルコーチでもあるオリビア・スミスは、現代の職場は落ち着きとは程遠いと語った。限界まで引き伸ばされた組織は、安定の代わりに彼女が「生産性パンデミック」と呼ぶもの、慢性的な圧力が献身と取り違えられる文化を持ち込んだという。
「企業はより少ない人数でより多くの成果を求めています。その一方で、絶え間ない中断、デジタル過多、途切れない接続性が、従業員を認知的な混乱の中に閉じ込めているのです」とスミスは付け加える。「職場は、ストレスと緊急性によって駆動される不適応行動の培養皿になりました。その結果、消耗が常態化し、落ち着きは『意欲の欠如』と見なされる文化が生まれています」
燃え尽き率66%に、感情面の健康や心理的安全性の低下が加わる。さらに従業員は、解雇疲れ、増え続ける業務量、経済の不安定さ、そしてパンデミック後も残る仕事上のプレッシャーに直面している。こうした状況のなかで、「トイレに避難」ことは対処行動になりつつある。



