宇宙

2026.05.24 09:30

スペースXの新型スターシップ打ち上げ成功、加速する宇宙インフラ構築とアルテミス計画

(c)SpaceX

予定ポイントへ精密に着水

大気圏再突入時の圧縮断熱によって発生する超高温のプラズマにさらされるシップ (c)SpaceX
大気圏再突入時の圧縮断熱によって発生する超高温のプラズマにさらされるシップ (c)SpaceX

打ち上げから47分が過ぎたころ、高度80kmあたりでシップの機体表面にプラズマが発生し、大気圏再突入がはじまった。10分以上にわたって超高温にさらされたあと、高度42kmでフラップを大きく展開し、そのストレステストが行われた。さらに高度36kmまで降下すると、バンキング・マニューバが開始され、機速が亜音速まで低下した。このマニューバは、将来的にタワーアームによる捕獲着陸で必要になる機動であり、そのシミュレーションとして実施された。

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機体を水平にしたベリーフリップと呼ばれる体制で降下するシップ (c)SpaceX
機体を水平にしたベリーフリップと呼ばれる体制で降下するシップ (c)SpaceX

高度が20km以下になると、シップは機体姿勢を水平状態に保つベリーフリップ・マニューバへと移行し、腹ばいの状態で降下しはじめた。高度1kmで2基のエンジンが再点火されると機体姿勢は垂直となり、打ち上げから1時間6分後には予定ポイントへ軟着水した。貴重な実証データを取得したシップは着水直後に爆発し、インド洋に沈んだ。

シップが着水した瞬間。このあと海面に転倒して大爆発を起こした (c)SpaceX
シップが着水した瞬間。このあと海面に転倒して大爆発を起こした (c)SpaceX

宇宙インフラ構築とアルテミスが加速

今回のテストの成功には大きな意義が伴う。設計を全面的に改めた新仕様でありながら、打ち上げから軟着水までの基本工程を成し遂げたことは、2027年のアルテミス3で予定される有人低軌道テストの実行可能性を保ったといえる。また、ダミー衛星の軌道上リリースに成功したことは、スターリンクV2による5G通信や軌道上データセンターなど、将来的な宇宙インフラの構築を大きく前進させるだろう。

スペースXは3月、軌道上AIデータセンターを担う機体のコンセプトを初めて公表した。電力容量は100kW。全幅170m以上になると思われる (c)SpaceX
スペースXは3月、軌道上AIデータセンターを担う機体のコンセプトを初めて公表した。電力容量は100kW。全幅170m以上になると思われる (c)SpaceX

ブースターとシップの一部エンジンが停止したにもかかわらず、予定軌道への投入に成功したことで、新型スターシップの冗長性も証明された。また、耐熱シールドに目処がついた点も重要なポイントだ。メンテナンスフリーで連続的な再使用を目指すスターシップでは、耐熱シールドの開発が最重要課題とされているが、マスク氏によると、今回の飛行テストでは耐熱シールドのパネルが溶け落ちることなく、再突入時の高熱に耐えたという。

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スターシップにおける軌道上での推進剤補給テストは2026年内に予定されている。また、シップの捕獲着陸を13~15回目の飛行テストで実施する可能性があることを、マスク氏は過去に発言している。こうしたスターシップの開発工程が確実に達成されれば、米国の宇宙計画は今後さらに加速すると思われる。

編集=安井克至

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