5月23日の午前7時30分(日本時間)、超大型宇宙船スターシップの通算12回目の飛行テストが実施された。スペースXの私設射場「スターベース」(米テキサス州)から打ち上げられたスターシップは、エンジンの一部が点火しなかったものの、予定軌道への投入に成功。ダミー衛星を軌道上にリリースしたのち、インド洋の予定ポイントへ正確に着水した。
6月にIPO(新規株式公開)を控えるスペースXにとって、今回の成功は資金調達面でも大きな追い風となりそうだ。
一部エンジン停止も、予定軌道への投入に成功
今回の飛行テストでスターシップは、従来のV2バージョンから大幅に仕様変更され、V3へと刷新された。ブースター(第1段)とシップ(第2段)はともに新設計とされ、新型エンジン「ラプター3」が双方に搭載された。
機体全長はV2仕様から延伸して約124mとなり、推力は8240tf(トンフォース、公表値)まで増大。これはアポロ計画で使用されたサターンVロケットの約2.3倍を意味する。この史上最大の機体を打ち上げるための発射台「パッド2」とその付帯設備も新たに建設された。
現地時間(米中部時間)17時30分、スターシップは定刻どおりに打ち上げられた。その1分43秒後、33基搭載されたラプターエンジンの1基が停止したが、そのまま上昇は継続された。2分22秒後には、約3600トンの推進剤を燃焼し尽くしたブースターのエンジンが停止。その直後にはシップのエンジン6基が点火され、ホットステージングと呼ばれるブースターの分離工程が行われた。
今回の飛行テストでブースターは、タワーアームによる捕獲着陸ではなく、海上への軟着水が予定された。しかし、着水直前のエンジン再起動が不完全に終わったため、ブースターは制御されないまま海面に激突した。
ブースターを切り離したシップはそのまま上昇を続けたが、打ち上げから3分を過ぎたとき、6基のエンジンのうちの1基(R-Vac)が不意に停止した。これによって生じた推力不足を補うため、残る5基が予定より約1分間長く燃焼された。その結果、打ち上げから9分18秒後、シップの機速は秒速7.5kmに達し、高度146kmの予定軌道に無事投入された。



