2024年に米国の大学が授与した理工系博士号の38%を留学生などの外国人(一時滞在ビザ保持者)が取得し、コンピューター・情報科学、工学、数学・統計学の各分野では、博士号取得者の半数以上を外国人が占めた。米国で働く理工系博士号取得者のうち46%が外国出身だ。
こうした数字に対し、全米科学財団(NSF)の2027年度予算案は54.7%の削減が提案されており、これが通ればNSFの予算は87億5000万ドル(約1.4兆円)から39億6000万ドル(約6300億円)へと減額される。
米環境保護庁(EPA)、米国立標準技術研究所(NIST)、米海洋大気庁(NOAA)の予算案はそれぞれ52%ないし54%の削減が提案されており、NOAAの基礎研究と技術開発を担う海洋大気研究所(OAR)への資金提供は完全に打ち切られる。連邦政府の研究開発(R&D)予算全体では、防衛関連が80%近く増加する一方で、非防衛関連は4%減少している。
ジョージア工科大学栄誉教授のヘイは、これらの数字が意味するところを次のように説明した。「科学が骨抜きにされることで米国は後退し、われわれの子どもたちが受け継ぐ未来を中国などの競合国に築かせてしまうことになる」
科学予算の削減は経済にも打撃となる。経済学者らの推計によると、科学研究開発に1ドル投じるごとに、経済的には最終的に1.71ドルの付加価値が生まれる。これは他のほぼあらゆる公的・民間投資を上回るリターンだ。
米国の科学の命運が決まる日
米下院歳出委員会は5月14日、NSF、NOAA、米航空宇宙局(NASA)の予算の大幅削減を含む2027年度商務・司法・科学(CJS)歳出法案を32対28の賛成多数で承認した。NIHとCDCの予算に関する下院労働・保健福祉・教育・関連機関小委員会の審議は6月5日に行われる。上院では現在も公聴会が続いている。
トランプ政権はNSBの委員を解任できても、3375人の科学者を解雇することはできない。また、NSBの報告書を書き換えることもできない。問題は、6月5日とその後の審議において、公式記録に警告が記載されただけで十分なのかという点だ。
『米国の科学・工学の現状 2026年版』と2027年度予算要求書は、同じ連邦政府機関によって作成されたものだ。しかし、米国の科学の現状についての両者の記述は一致していない。6月5日から始まる審議で、連邦議会がどちらの主張を受け入れるかが決まることになる。


