NEWS Forbes JAPAN MEMBERSHIP 新機能|
記事ページ内の広告表示を最小限にしました

AI

2026.08.11 13:00

AIエージェントを「従業員化」する企業が急増、新たな組織図が招く自信喪失とミスの連鎖

stock.adobe.com

stock.adobe.com

AIエージェントを従業員として位置づけるべきだろうか。

これは比喩表現ではない。CEOやリーダーたちが組織図を通じて答え始めている現実の問題である。

Harvard Business Reviewに掲載された新たな研究によれば、人工知能は、裏方で動くエンタープライズ向けソフトウェアというラベルから「昇進」し、いまや名称と役割を持つ高性能なAIエージェントへと移行しつつある。場合によっては、人間の従業員より上の位置で組織図に居場所を得ているケースすらある。

医療から金融サービスまで幅広い業界で、CEOや経営幹部は、人員を増やす代わりに「AI従業員」を労働力として加え始めている。自律型システムに職務記述書、タスク、ワークフローを割り当て、レポート作成、予算分析、あるいはこれまで若手スタッフが担ってきたオペレーション業務を処理させているのだ。こうした「従業員」や「デジタルチームメイト」の一部はマネージャーとして配置され、また一部はマネージャーの下で働いている。

この潮流は未来の話のように聞こえるかもしれないが、多くの人が認識しているよりもはるかに速く進行している。北米および欧州の1200人超のマネージャーと経営幹部を対象にした調査では、31%が自社のリーダーシップがすでにAIをチームメイトまたは従業員として位置づけていると回答した。さらに4人に1人近くが、AIエージェントが組織図またはワークフロー図に正式に記載されていると答えている。

一見すると、この発想は無害に見える。むしろ賢明にすら思えるかもしれない。AIがより人間らしく感じられれば、従業員は使うことにより抵抗がなくなる、というわけだ。リーダーの一部はこれをイノベーションとして捉え、組織が「AI先進企業」であることのアピールだと解釈する。しかし研究が示しているのは、はるかに複雑な現実である。

人々がソフトウェアを同僚のように扱い、競争し始めたとき、心理的には何が起きるのか。

報告書によれば、そこから境界線が曖昧になり始める。

AIが社会的に「同僚」として位置づけられると、責任の所在が奇妙な方向へ移動し始めるのだ。

研究者は、「AI従業員」という考え方を採用したマネージャーほど、結果に対して自分自身が個人的に責任を負う意識が弱まりやすいことを見いだした。代わりに何らかの問題が発生するまでは、責任はAIシステム自体に移ってしまう。

ある参加者は、エラーが出るたびに同僚が「ケビン」という名のAIシステムのせいにする様子を語った。「ケビンがミスをした」と口にし、あたかもそのシステムが、導入・監督している従業員から独立した主体性を持っているかのように扱っていたという。

次ページ > テクノロジーが同僚として位置づけられると、人は自分の判断への自信を失いやすくなる

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事