破壊された森林に取り残された1頭のオランウータンから、さまざまな大陸の、息をのむような野生生物まで、「ネイチャー・フォトグラフィー・コンテスト」2025年入賞者たちは、地球の美しさと、消滅の危機にあるものをとらえている。
時にユーモラスで、時にドラマチックな入賞作品の数々は、いわば、目で見てたどる旅路だ。この驚くべき旅では、私たちの惑星の美しさと壮大さと脆さを、そして地球上の生命を支えている繊細なバランスを見ることができる。
主催者いわく、このコンテストは「私たちが持っているものを──そして今にも失ってしまいそうなものを、改めて伝える」ものだ。さらに、こうも述べられている。「この惑星を守ることがいかに重要か。その認識を高める上で、自然写真はこの上なく強力な方法になる」
プロ・アマを問わず、あらゆるフォトグラファーたちを対象とするこのコンテストは、壮大な風景写真から、野生生物に密着したポートレート、精緻なマクロ写真まで、あらゆるスタイルを歓迎している。それには、世界中から参加者を集めて、保全活動を後押しするという狙いがある。
ネイチャー・フォトグラフィー・オブ・ジ・イヤー受賞作品
2025年のコンテストで最優秀賞である「ネイチャー・フォトグラフィー・オブ・ジ・イヤー」と1000ユーロの賞金を手にしたのは、カナダ・オークビルのトーマス・ヴィジャヤンだ。彼は、「どうか、私たちの故郷を奪わないで(Please Spare Our Home)」と題された、印象的な作品を撮影した。
この写真では、1頭の大人のオランウータンが、生息地の「なれの果て」に座っている。引き抜かれた植物、折れた木の幹、フレームの端から端まで続く剥き出しの地面──低い視点から撮影された構図が、オランウータンの存在を強調すると同時に、その脆さをも浮き彫りにしている。オランウータンの姿勢と視線は、見る者をまっすぐ見据えるようであり、威厳と、無言の懇願の両方を伝えている。
この写真は、野生動物の単なるポートレートの枠を越えており、森林破壊と生息地の喪失を訴える強力な声明でもある。人間活動の結果を捉える一方で、危機に瀕する種と生態系を守る責任を皆が共有していることを、見る者に改めて伝えている。
今回の受賞は、ヴィジャヤンのキャリアにとって、また一つの節目となった。ヴィジャヤンは、2024年の「フォトグラファー・オブ・ジ・イヤー」も受賞している。
ヴィジャヤンは、「この変わりつつある世界は、私たちの周囲にいる多くの生物たちにとって大きな脅威になっています。その一例が、地球上で最も素晴らしい現生の類人猿、オランウータンです」と説明する。「人間はひたすら、目先の欲求を満たしています。森林破壊が続けば、この先の世代は、オランウータンをまったく見られなくなるかもしれません。油脂産業の世界的需要の高まりを受け、パーム油プランテーションをつくるために、ほとんどの植物、特に樹齢1000年を超える古木が切り倒されてしまいました。そうした古木自体も、地球の重要な資産です。オランウータンは今、寄る辺のない生きものとして、食べものを給餌ステーションに頼っている状況です」
「オランウータンは、樹上での生活に慣れており、ライチやマンゴスチン、イチジクなどの野生の果実を食べ、木のうろにたまった水を飲みます。悲しい話ですが、現在のオランウータンが直面しているようなペースで変化が続けば、彼らがどれくらい生き延びられるのかわかりません。実際、彼らとしばらく過ごしたときには、彼らは、私たち人間に何か言いたいことがあるのだと肌で感じました。それぞれの目のなかに、言葉にならない感情があるんです」
「この写真では、消滅しそうな生息地にいる、悲しげな大人のオランウータンが、自分の故郷を助けてくれと私たちに懇願している姿を見てとれるはずです」



