リーダーシップ

2026.05.23 08:33

「成果」でリーダーを判断する罠──あなたが誤った人物についていく理由

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ほとんどの取締役会が選んでいるのはCEOではない。選んでいるのはレジュメだ。そしてレジュメは成果のスコアカードである。リーダーを評価するうえで、まさに誤った方法だ。

これは「アウトカム・バイアス(結果バイアス)」である。意思決定が行われた時点で良い判断だったかどうかではなく、結果がどうだったかで判断してしまう、人間に広く見られる傾向だ。ビジネスにおける最も蔓延した認知の失敗の1つであり、しかも同時に2つのレベルで作用する。すなわち、私たちは昇進させ、追随するリーダーにおいて運を実力と取り違え、さらに、状況が変わった後も回し続ける戦略において一度きりの成功を再現可能な方程式と取り違える。

どちらも高くつく。両方が重なると破滅的だ。

アウトカム・バイアスはもっともらしく感じられる。もちろん数字を達成した人を評価すべきだ。もちろんうまくいったことは続けるべきだ。問題は、成果にはノイズが多いという点にある。悪い判断が良い結果を生むこともある。良い判断が悪い結果を生むこともある。

酒を飲んで車を運転し、たまたま無事にバーから帰れたからといって、それが良い考えだと主張する賢明な人間はいないだろう。ところがビジネスでは、初期の成果が良さそうに見えた瞬間に、計画やリーダーについての問いを立てることを常習的にやめてしまう。成功の実績がある人物を、なぜ成功したのかを分析することなく過大評価する。

誠実な投資家なら誰もが言うように、過去の実績は将来の収益性を保証しない。

人物に対するアウトカム・バイアス:ウェルチ問題

ジャック・ウェルチのケースを考えてみよう。

20年にわたり、ウェルチは現代における最高のCEOとして扱われた。彼の顔はあらゆるビジネス誌の表紙を飾った。回顧録はあらゆるMBAプログラムの必読書になった。強制ランキング、金融化、連続的な買収、苛烈なコスト削減、四半期利益への執着という彼のリーダーシップ・モデルは、ある世代の米国企業幹部にとって既定の教本となった。GEの時価総額は、ウェルチが1981年に就任した時点の約140億ドルから、2001年の退任時には4500億ドル超へと拡大した。

数字は圧巻だった。そして、その数字こそが評価のすべてだった。

それから20年後、判断はまるで違って見える。

ウェルチがジェフ・イメルトに引き継いだ会社は、危険なほど過剰に拡張したGEキャピタルに支えられた、工業のロゴをドアに掲げる金融サービス企業だった。2018年までにGEはダウ工業株30種平均から除外された。2021年には、残った会社を3つに分割せざるを得なかった。躍進を生んだ戦略は、単に効かなくなったのではない。実はその間ずっと会社を空洞化させていたことが明らかになった。

取締役会が夜も眠れなくなるべきなのはここだ。ウェルチのケースは、リーダー評価の仕方における例外ではない。むしろ規則だった。

ウェルチを神格化したのと同じアウトカム・バイアスが、彼の弟子たちを企業の最高幹部室へと押し上げた。ボブ・ナルデリはホーム・デポ、次いでクライスラーへ。ラリー・ボシディはハネウェルへ。ジャック・ナッサーはフォードへ。そして、GEでウェルチの後継候補3人の最終選考に残ったジム・マクナーニーは、2005年にボーイングへ。彼は10年間それを率いた。ボーイング737 MAX計画は、彼の在任中に立ち上がった。

これらの人物が選ばれたのは、リーダーシップの哲学が優れていたからではない。良い結果に近い場所にいたから選ばれたのだ。取締役会、サーチファーム、経済メディア、アナリスト・コミュニティは、同じスコアカードを読み、同じ結論に至った。

そのスコアカードは間違っていた。しかし、誰もそれ以外を見ていなかった。

戦略に対するアウトカム・バイアス:ボーイング問題

同じバイアスは戦略の側でも働き、その危険性は同等に大きい。

20世紀の大半において、ボーイングは「たまたま利益が出る」エンジニアリング企業だった。トップの支配的な論理は、世界最高の航空機をつくれば財務成果は後からついてくる、というものだ。この論理が707、747、777を生み、社内でエンジニアが真の地位を持つ文化を形づくった。

2005年にマクナーニーが着任すると、彼はウェルチ流の教本を持ち込んだ。優先順位は変わった。自社株買いは加速し、エンジニアリングの権限は弱まった。主要部品はサプライヤーへ外注され、サプライヤーはさらに自らコストを下げることを求められた。およそ10年にわたり財務成績は優秀だった。株価は市場をアウトパフォームし、利益率は改善し、ウォール街は大喜びだった。

戦略はマクナーニーの退任後も変わらなかった。回し続けられた。そして2018年10月、ライオン・エア610便がインドネシア沖で墜落するまで、財務成績は戦略がうまくいっているように見せていた。

その墜落が、そうではないことを示す最初の兆候だった。

ボーイングは、戦略が数十年にわたって依存してきたエンジニアリング文化とサプライチェーンを、気づかれないまま劣化させていた。MAXの墜落事故はブラックスワンではない。条件が変わったのに教本は変わらなかったことを示す道標だった。

2024年1月にアラスカ航空機でドアプラグが吹き飛んだことも、同年後半に会社を麻痺させたストライキも、その後に続いた品質・安全問題の連鎖も同じだ。

ボーイングの問題は、2024年に誤った戦略を実行したことではない。2008年に機能した戦略を、それが機能する条件が足元から崩れて久しいのに、回し続けたことにある。

これがアウトカム・バイアスの作用だ。序盤の勝ちを見て勝利宣言をし、そのプレーがフィールドにまだ適しているのかを問うのをやめてしまう。

リーダーができる3つのこと

アウトカム・バイアスは脳に組み込まれている。しかし、意志の力だけでそれに打ち勝つことに頼らない意思決定プロセスを構築することはできる。方法は次の通りだ。

  1. 結果だけでなくプロセスを監査する。良い結果の後にリーダーが問うべき、最も有用な質問はこれだ。「もし結果が違っていたとしても、同じ意思決定は良い判断だっただろうか」。チームが運に恵まれたなら、それは運に恵まれたのだ。それを認めることは自信の欠如ではない。結果から本当に何かを学ぶための前提条件である。これを正しく行う企業は、意思決定の質と結果の質を切り分け、それぞれを独立に評価する。
  2. 意思決定ジャーナルをつける。重要な意思決定を確定する前に、主要な前提、期待される結果、そして理由を書き留める。日付を入れ、署名する。12カ月後か18カ月後にそれを取り出す。多くのリーダーはこれをしない。だからこそ多くのリーダーは、自分の真の成功と、運に助けられた成功の違いを見分けられない。ジャーナルがあれば見分けられる。
  3. 物事がうまくいっているときこそ最も懐疑的である。自然な人間の本能は、結果が悪いときに戦略を精査し、結果が良いときには精査をやめてしまうことだ。その衝動を逆転させよ。あるプレーが一貫して機能し始めた瞬間こそ、それが何に依存しているのか、どんな変化がその条件を変えうるのか、そしてそれをどう見抜くのかを最も問うべきときである。戦略は自らの有効期限を告げない。問いをやめたリーダーが、痛い目を見て思い知ることになる。

長い時間軸で偉大さを保つリーダーとは、最高の実績を持つ者であるだけではない。実績を決して信用しない者である。とりわけ自分自身の実績を。

forbes.com 原文

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