サイエンス

2026.05.23 08:02

ジンベエザメはドローンを気にしない? 新研究が明かした驚きの事実

Adobe Stock

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世界最大の魚はゆっくりと動く。まるで海が自分を避けることを知っているかのように。青く澄んだ海を切り裂く「水中の星々」の群れは、周囲で何が起きていようと意に介さない(それが文字通りの「一口」=餌でない限り)。美しく特徴的な斑点模様と温厚な性質から、こうした動物は研究者と観光客を惹きつけ、西オーストラリア州沖のニンガルー・リーフのような場所には「水面下を滑る星座」を一目見ようと人々が大勢集まる。だが近年、それを見つめる目は人間だけではない。静かに上空でホバリングする機械の目がある。

ドローンは、海洋生物の研究手法を変えた。船や人の騒音や侵入なしに、海を俯瞰する鳥の目の視点を提供するからだ。科学者にとっては、個体数、移動パターン、さらには体の状態に関するデータの質が向上する。だが、この種の技術には常に拭いきれない懸念がある。これまで以上に動物を近くから観察することで、理解したい行動そのものを変えてしまってはいないか、という問題だ。野生生物研究でドローンが一般化するにつれ、科学者は「何が学べるか」だけでなく、使う道具が動物そのものにどのような影響を与えうるのかも検証するよう迫られている。こうした問いに、象徴的なジンベエザメをめぐって答えようとしたのが、マードック大学の研究者らが主導した新たな研究だ。これまでの研究では、イルカ海鳥を含む一部の海洋生物がドローンに反応しうることが示されている。だが問題は、それらの反応の多くが観察のみに基づいて測定されてきた点であり、主観が入りうる。

では、どうすればその偏りを取り除けるのか。動物の声を直接聞くのだ。

マードック大学のサマンサ・D・レイノルズ博士(同大学ハリー・バトラー研究所)が率いた研究チームは、13匹のジンベエザメに動作センサー付きの装置を装着し、泳ぐ際の負荷、尾びれの打ち頻度、潜水行動といった微細なデータを記録した。狙いは、上空からは明確に見えなくても、ストレスや攪乱を示す可能性のある「微妙な動き」を捉えることにあった。サメがタグを装着している間、ドローンも上空で飛行させた。高度は10〜60mの範囲だった。さらに、ドローンがいない状況での基準データも収集し、直接比較できるようにした。その結果は、表面的には安心材料だった。ドローンが頭上を飛んでも、ジンベエザメは行動を変えたようには見えなかったのだ。遊泳パターンは一貫しており、動きに興奮や回避の兆候もなかった。要するに、何も変わっていないかのように振る舞った。

「ジンベエザメへの影響は検出できなかったが、この研究では測定していない生理的影響がある可能性や、摂餌など別の行動中にはドローンが影響しうる可能性はある」とレイノルズはプレスリリースで述べた。だが、動物が「攪乱されていない」とは本当はどういう意味なのか。行動の変化が見えないなら、影響がまったくないと言えるのか。研究者自身も慎重だ。ストレスは、動きだけではすぐに見えない形で現れることがある。例えばホルモン変化を検出するには、別の手法が必要になる。文脈の問題もある。摂餌中、他の動物と相互作用している最中、あるいはより長時間ドローンにさらされた場合、サメは違う反応を示すのだろうか。

さらに、より広い生態系も考慮しなければならない。ジンベエザメがドローンに比較的動じないとしても、同じ海域を共有するのは彼らだけではない。ある種にとって低侵襲の道具が、別の種にとっては攪乱となりうる。レイノルズはプレスリリースで、今回の結果は「ジンベエザメに特有のもの」であり、「同じ生態系にいる海鳥、ウミガメ、イルカ、クジラなど他の種はドローンにより敏感で、反応は大きく異なりうる」と改めて強調している。

この研究は、ジンベエザメを扱う科学者にとって心強いものではあるが、急速に進歩する技術の時代に野生生物をどう研究するか、というより大きな議論の一部でもある。ドローンは、かつて不可能だった方法でデータを収集する驚くべき機会をもたらす。それ自体に異論はない。近距離での人の介入を減らし、コストを下げ、研究規模を拡張できる場合が多い。だが同時に、新たな責任の層も生む。西オーストラリア州では、こうした責任の増加を反映し、研究対象の動物を犠牲にして好奇心を満たすことがないよう規制がすでに安全策として機能している。商用・レジャーのドローン操縦者は、法律によりジンベエザメから少なくとも60m離れること、そして「野生生物を攪乱してはならない」ことが求められる。本研究の飛行は特別許可のもとで実施され、マードック大学の成果は、ジンベエザメ研究においてドローンを責任ある形で用い得るという確信を与える。科学研究と保全の取り組みにとって朗報だ。だが、観察は常に科学の礎である一方、中立ではない。見るという行為は、たとえ微妙な形であっても、見られる側を形づくりうる。「今回の結果はジンベエザメにとって安心材料だが、ドローンがリスクゼロだという意味ではない。できるだけ高い高度で、できるだけ短時間だけ飛ばし、本当に価値が付加される場合にのみ使用するという予防的アプローチを、私たちは引き続き推奨する」とレイノルズは結論づけた。

今のところ、ジンベエザメは上空のドローンという静かな存在を受け入れているように見える。だが、その寛容さを当然視してはならない。環境に持ち込む新しい道具は、意図の有無にかかわらず、その環境の一部になる。ドローンを通じた最終目標は、単に海をより多く「見る」ことではない。理解し、守り、可能な限り、見つけたときのままにしておくことにある。

forbes.com 原文

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