米国防総省のショーン・パーネル報道官は今月初旬、同省のピート・ヘグセス長官がドイツ駐留米軍約5000人の撤退を命じたと述べた。その上で、この措置は「向こう6~12カ月で完了する」と説明した。米国のドナルド・トランプ政権は昨年10月にも、ルーマニアから撤退する米陸軍戦闘旅団の後継部隊を派遣しないと発表していた。国防総省は今月15日、ポーランドへの4000人の部隊の一時派遣計画も中止した。こうした一連の決定を受け、欧州諸国は警戒感を抱いている。
だが、欧州に駐留する米軍の削減はこれにとどまらないかもしれない。米NPRの報道によると、トランプ大統領はイタリアとスペインに駐留する兵力の削減も検討しているという。この理由について、同大統領は、ドイツ、イタリア、スペインといった国々は、イラン攻撃の際に米国に協力的ではなかったと説明した。同大統領は先月1日、欧州が米国のイラン攻撃に協力しなかったとして、北大西洋条約機構(NATO)からの脱退も検討していると表明していた。
トランプ大統領が欧州と対立するのは今回が初めてではない。昨年1月に同大統領が就任して以降、米国と欧州はNATO加盟各国の防衛費や、ロシアによるウクライナ侵攻を終結させる方法について議論を重ねてきた。米国と欧州は貿易や関税を巡ってもたびたび対立してきた。トランプ大統領は一時、デンマーク自治領グリーンランドの併合をちらつかせたこともある。そして現在、トランプ大統領は欧州諸国に対し、イランとの戦いで米国とイスラエルを支援するよう求めているが、欧州側はこれを拒否している。
米国がドイツ駐留部隊の削減を発表したことを受け、ドイツのボリス・ピストリウス国防相は、欧州諸国は「自らの安全保障に対する責任を負うべきだ」と警鐘を鳴らした。その上で、ドイツの軍備増強は「正しい方向」に向かっており、他の欧州諸国もこれに追随するよう呼びかけた。
NATOのアナス・フォー・ラスムセン元事務総長も欧州各国に対し、防衛力の強化を求めた。米ニュースサイト「ポリティコ」との対談でラスムセン元事務総長は、欧州は「武器と弾薬の製造を拡大する必要がある」と強調。安全保障を強化するためには、欧州諸国が「新たな防衛計画と軍事能力」を確立する必要があると述べた。



