「空母建造の遅延と整備期間の長期化により、運用中の空母は今後、より長期の展開を余儀なくされるだろう」と米シンクタンク・ハドソン研究所のブライアン・クラーク上級研究員は指摘。「空母の展開期間が長引き、運用寿命が延長されれば、整備の必要性は高まり、整備期間も延びることになる」と警鐘を鳴らす。
クラークの説明によると、空母の運用サイクルは36カ月で、9カ月~18カ月の整備期間を要する。「空母艦隊の場合、より長い整備期間を設けることで長期展開と整備期間の長期化という悪循環のエスカレートを防げるだろう」という。
根本的な問題は、米海軍の原子力空母を整備できる造船所が、現在抱えている業務量でもはや手一杯になっていることだ。
「老朽化し過酷な運用を強いられている空母艦隊に対応するため業務量が増加すれば、いっそう作業が遅延する事態は避けられず、空母を予定通り展開することは難しくなるだろう」とクラークは続けた。「そうなれば、展開期間の長期化、整備需要の増加、そして整備のさらなる遅延という悪循環を招きかねない」
空母の建造数を増やしても解決にはならない
この問題はもっと空母を新造すれば解決できそうに思えるが、次期ジェラルド・R・フォード級空母「USSジョン・F・ケネディ(CVN-79)」の就役はすでに予定より大幅に遅れている。フォード級空母の3番艦「USSエンタープライズ(CVN-80)」や、同4番艦「USSドリス・ミラー(CVN-81)」に関しても状況は好転しないだろう。
こうした問題を踏まえると、空母の建造数を増やすことは単純に現実的ではない。
「造船の現場ではすでに遅延が生じているため、より多くの艦艇を建造するために追加資金を投入しても、艦隊規模は拡大しない」とクラークは説明した。「海軍もこれ以上は空母を必要としていない。空母戦力を回復させたとしても、増えた空母への人員配置はままならず、運用・保守費用を賄うこともできないだろう。搭載する航空機も不足している」
これらはいずれも容易には解決できない問題だ。その結果、米海軍空母の乗組員たちは今後、より長く本国を離れて過ごすことを覚悟しなければならないだろう。


