世界のアーティストが「台北」に集まるわけ アジア・ツアーの新拠点

2023年秋に開業した台北ドーム

今年はONE OK ROCKのほか、8都市15公演のアリーナ・ツアーで勢い付いているXGも秋には台北ドーム出演が予想されている。

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中国リスクが変えた「アジア興行」の常識

その背景には、中国本土における興行リスクの増大がある。今年7月31日に香港で予定されていたXGの公演は、中国のネット上で「731部隊を想起させる日程を日本人ガールズグループが意図的に選んだ」という批判が拡散。結果として、会場側の判断により公演日は8月3日に変更された。ONE OK ROCKのワールドツアーでも、当初予定されていた上海と香港公演は「予期せぬ事態により中止」と発表。

さらに、世界規模でツアーを運営するLive NationやAEGは、中国政府による度重なる欧米アーティスト公演の中止を踏まえ、マドンナやエド・シーランのツアーでは、従来の北京や上海を避け,より確実に興行が実施できる台北を組み入れることを検討し始めている。

このように従来は「東京・大阪・ソウル・シンガポール」に中国本土公演を加える形が一般的だったが、近年は、天候に左右されない大型会場を備え、さらに政治的にも比較的安定した台北で公演を行うという流れが加速。

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「5大ドームツアー」の次に来るもの

興行において台湾市場へのシフトが進むなか、台湾では台北ドームに加え、高雄アリーナや台北アリーナなど大型施設が整備され、アジアでも有数のライブ開催環境を備え始めている。17年もの間、台北ドームの計画責任者を務めた李柏熹社長は、「台北ドームの成功が波及効果を生み、現在3都市でドーム球場の建設が具体化している。さらに台北郊外の新北では大型民営アリーナ建設も発表されており、台湾のコンサート産業は飛躍的な成長局面に入った」と語る。

さらに、これまで日本には存在しなかった高価格帯スイートルームやVIP施設の導入によって、企業接待や富裕層需要も喚起されている。単なる音楽会場ではなく、都市型エンタテインメント産業としての収益モデルが成立し始めているのだ。

こうした変化は、日本国内ツアーの構造にも影響を与え始めている。

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文=北谷賢司

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