世界のアーティストが「台北」に集まるわけ アジア・ツアーの新拠点

2023年秋に開業した台北ドーム

2023年秋に開業した台北ドーム

アジア・ツアーの地図が、大きく塗り替わろうとしている。
これまで洋楽、K-Pop、J-Popの大型ツアーは、東京・大阪、ソウル、シンガポールに、中国本土の北京や上海を加える形が定番だった。しかし近年、中国における政治的・興行的リスクの高まりを背景に、その構造が変化し始めている。その新たな受け皿として急浮上しているのが、2023年に開業した「台北ドーム」だ。

4月25、26日、ロックバンドONE OK ROCKが、3万5千席を擁する台北ドームでアジア・ツアー公演を日本人アーティストとして開催し、完売させた。リード・ボーカルTakaが日本語と英語でコメントするたびに会場のファンは熱狂し、その空気感はまるで日本のライブ会場にいるかのようだった。


20年越しで完成した台湾最大のエンタメ拠点

会場となった台湾ドームの内外は非常に清潔で、観客導線も整然かつ効率的。グッズ販売や飲食サービスも、日本のドーム・スタジアムと比べて遜色はない。世界的なアリーナ・スタジアム設計会社ポピュラスによる設計により、外野側に設置されたステージがバックネット裏からでも近く感じられる構造となっており、アーティストと観客双方にとって親和性の高い施設に仕上がっている。

台北ドームは、台湾有数のコングロマリットである遠雄(Far Glory)グループが建設・運営する民営施設で、2023年11月に開業した多目的屋根付き球場だ。趙藤雄会長の強い意志のもと、20年以上の歳月を経て完成した。単なる全天候型野球場ではなく、ドームを核にホテル、商業施設、飲食街、シネコン、中小規模ホールなどを集積した「エンタテインメント街」を形成する巨大都市開発プロジェクトとして構想された。

2006年に台湾初のBOT(Build-Operate-Transfer)方式で建設認可を取得し、2012年に着工。しかし、台北市との政治対立や安全基準問題によって2015年から2020年まで工事が中断され、計画修正を繰り返した末、ようやく完成に至った。「世界で最も工期の長いドーム」とも言われている。

完成から1年半が経過し、年間70試合規模の野球開催に加え、コンサート会場としての稼働も急増している。これまでジェイ・チョウ、五月天、アーメイなど地元台湾のトップスターや、D-Dragon、SUPER JUNIOR、TWICE、NCT DREAMなどK-Pop勢が中心だったが、近年はJ-Pop勢への台湾公演への期待が急速に高まっている。

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文=北谷賢司

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