実用的なイノベーションを可能にするテクノロジー
当然のことながら、テクノロジーはサービス分野における実用的なイノベーションの重要な推進役となっている。クラウドコンピューティングやAI、自動化によって障壁が下がるにつれ、かつては大企業だけが利用できたツールやリソースにより多くの起業家がアクセスできるようになっている。これにより起業家はこのテクノロジーを革新的な方法で活用し、これまで不可能だった方法で事業を拡大できるようになっている。
たとえば、米住宅建設会社Heritage Construction Co.(ヘリテージ・コンストラクション)の創業者ジェイク・ブライドンはポッドキャストのインタビューで次のように語っている。
「屋根工事のビジネスを成長・拡大したいという思いから、私は屋根工事向けソフトウェア製品を作り始めた。間接費を増やすことなく売上を伸ばしたかったからだ。業界には年間1億ドル(約159億円)以上を売り上げているメンターが何人かいたが、間接費や売掛金が課題となっていた。そのような方向に向かいたくなかったのでビジネスを自動化する道を選んだ。本社オフィスにはスタッフが5人しかいないため、間接費は非常に低く抑えられている」
ブライドンは自社サービスを商品化している多くの起業家の1人であり、再現性のあるパッケージやシステムを活用することでサービスを大規模に提供しやすくしている。
さらに、多くの起業家は自動化ツールを使って業務プロセスを最適化し、ワークフローを標準化するとともに反復作業を自動化することで、より高度な活動に注力できるようにしている。大量の業務を自動化することで中小企業は週に8〜15時間を節約でき、追加で人材を採用することなく生産を増やせる。ローコード・ノーコードツールによってテックに明るくない創業者でさえ自社特有の業務ニーズに合わせたソフトウェアを迅速に開発・導入できるようになっている。
サービス企業が成長できる環境の構築
サービス企業が独自に事業拡大を図るテクノロジーのイノベーションは、多くのサービス志向の企業に本来備わっている自然な強みを基盤としている。製品販売に重点的に取り組む企業と比べると、サービス企業(特にデジタル中心のサービス企業)は物理的な在庫や製造設備に投資する必要がないため初期投資の負担が少ない。
サービス業もまた、継続的な収益モデルを活用するのに適した立場にある。SaaSソフトウェアから芝生管理サービスに至るまで、多くのサービス業はサブスクリプションや利用量に応じた価格体系を提供しており、既存の顧客基盤から予測可能な収入源を確保している。そしてデジタルサービスのプロバイダーはリモートでの提供が可能なため、世界中の顧客にほぼ即座にリーチすることができる。
多くのサービス企業で製品とサービスの境界線がますます曖昧になる中、テクノロジーによる提供能力は事業の拡張に不可欠となっている。テクノロジー中心の実用的なイノベーションは、特に企業がテクノロジーを導入・活用する際の業務の俊敏性を高める上でそれを可能にしている。
ブランドは反復的かつ実践的な改善に集中することで、顧客数が劇的に増加しても忠実な顧客基盤を築き、当初顧客の心を掴んだ品質水準を維持することができる。多くのサービス提供企業は、独自の破壊的技術の開発に注力するよりも反復的な改善こそが事業拡大への最善の道であることに気づき始めている。


