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2026.06.07 17:00

顔も声もしぐさも丸ごと企業にライセンス、インフルエンサーの「AIクローン」は誰のものか

stock.adobe.com

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YouTube Shortsが、クリエイターが人工知能(AI)を用いて自身の「AIアバター」のショート動画を生成できる新機能を導入した。ほぼ同じ時期に、TikTokのスターであるカビー・ラメをめぐって、自身の肖像をAIで利用する権利に関する9億7500万ドル(約1560億円。1ドル=160円換算)規模の契約が報じられた。ただ、この取引については正式に完了していたのかをめぐる疑問が浮上し、業界内で厳しい視線が向けられた。

これらの動きは、インフルエンサーマーケティングの現場で急速に現実味を帯びつつある変化を示している。クリエイターとの契約はもはや、スポンサード投稿やコンテンツの利用権だけを扱うものではなくなっている。交渉の焦点は現在、本人の姿や声をAIで再現する権利や、生成AIによるコンテンツの所有権にまで広がっている。

決まり文句だった肖像権に関する契約条項が、「法的な地雷原」に変わる

クリエイター契約における肖像権に関する条項は長年、決まりきった文言として盛り込まれるだけだった。ブランドは、キャンペーン素材をSNS、有料広告、ウェブサイトなどで利用する権利を、期限を決めて確保していた。生成AIの登場により、こうした素材を再利用できる範囲は劇的に広がった。

その結果、クリエイター、エージェンシー、ブランドは、AIで再現された本人の姿や声の権利は誰にあるのかという、はるかに複雑な問いに直面している。

この問題をより差し迫ったものにしているのが、マーケティング分野でAIの導入が広がっていることだ。ブランドの4分の3が、クリエイターマーケティング関連の業務にすでにAIを使っているか、今後使う予定だという。IABのレポート「Creator Economy Ad Spend & Strategy Report 2025」がそう示している。これは、AIが単なる実験段階を抜け出し、マーケティング業務を支える仕組みとして急速に定着しつつあることを示している。

クリエイターエージェンシーHYDPの創業者トーマス・マークランドは、業界がこの領域に踏み込むスピードが、多くの幹部の想定よりはるかに速かったと話す。

「AIによるクローン作成の能力は、業界の大半が予想していたよりも速く進化したと思う。2025年までは、クリエイター契約における肖像権や利用権の条項は、決まりきった文言にすぎず、形式的に盛り込まれているだけだった」とマークランドは、あるインタビューで語っていた。現在は状況が異なるという。

「クリエイター向けの新しいAIツールが急速に発展する中で、こうした条項は以前より厳しく精査されるようになっている。従来、我々は、制作されたコンテンツについて広範な権利を取得するのが一般的だった。だが、契約でここまで広い所有権を認めると、ブランドやエージェンシーはAIを使い、素材を自分たちの判断で利用したり加工したりできる余地を持つことになる」と彼は述べている。

実務上、これは次のような事態を意味する。数カ月前に1本の広告キャンペーンに起用されたクリエイターの肖像が、本人が実際には参加していないAI生成キャンペーンの中で、理論上、無期限に再利用され得る。マークランドによると、そのため契約は突然、はるかに複雑なものになった。「契約は急速に法的な地雷原になっている。AI開発のスピードが速いため、その複雑さは増している」と彼は語った。

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翻訳=上田裕資

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