モビリティ

2026.05.29 17:00

「補助金は不要」と説くマスク、電動トラック「テスラ・セミ」はカリフォルニア州の補助金漬け

イーロン・マスク(Photo by Johannes Neudecker/picture alliance via Getty Images)

補助の積み上げでテスラ・セミの経済性を高めるカリフォルニア

テスラ・セミ事業を統括するダン・プリーストリーは今月、ラスベガスで開かれたACT Expoの会議で、カリフォルニア州が「初期段階の重要市場になる」との見方を示した。その理由は「経済性が非常に高い」ことだと説明した。「テスラ・セミの初期の導入の多くはカリフォルニア州になる」とプリーストリーは述べた。彼は「カリフォルニア州にフリートを持つ事業者向けには、HVIPの資金がまだ2億ドル(約318億円)残っている。ぜひ取りにいってほしい」と聴衆に向けて呼びかけた。

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プリーストリーによれば、テスラはテキサス州も有力市場になると見込んでいる。同州は全米の多くの地域に比べて電気料金とディーゼル価格が安い。テスラは米南東部の各州でも強い需要を期待している。

複数台のトラックを保有・運用するフリート事業者は、HVIPの補助枠に加え、新設のClean Fuel Reward Program(10億ドル[約1590億円])からも資金を申請できる。地元の電力会社、地域の環境当局、州内の港湾が用意する優遇措置も利用できる。小規模フリートを運用する事業者の場合、こうした資金を組み合わせれば、州の売上税、登録料、12%という高い連邦物品税を除いたセミトラックの購入価格の最大90%を賄える。

キャップ・アンド・トレードが支える州資金の財源

カリフォルニア州大気資源局のリンゼイ・バックリーによると、これらの州資金はカリフォルニア州の納税者が直接負担しているわけではない。財源は、汚染を出す事業者に排出量を相殺するためのクレジット購入を義務づける同州のキャップ・アンド・トレード制度と、低炭素燃料基準の下で電力会社が生み出す収入だ。

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「大型車は、地域の大気汚染の大きな要因の1つだ。特に港湾や貨物拠点の近くにあるコミュニティでは、その影響が大きい。これらの制度は、ゼロエミッション技術の導入を加速させることで、有害な排出ガスに最もさらされているカリフォルニア州民に、よりきれいな空気をもたらす」とバックリーは述べた。

中古ディーゼルを下回るテスラ・セミの価格水準

当面、これらの制度により、新車の電動大型トラックの価格は中古のディーゼルトラックを下回る水準になる。「中小のフリート事業者の大半は、補助金がなければ中古のディーゼルトラックを購入していた」と、電動トラック分野の企業を支援するMeridius Consultingのジェイソン・ロイクトは語る。

「この分野でカリフォルニア州に匹敵する取り組みを進めてきた地域は、他にほとんどなかった。カリフォルニア州は称賛に値する。同州には大きな港湾があり、市場を立ち上げるために正しい取り組みを進めようとしている」と、ボッシュと電動トラックメーカーのニコラで幹部を務めた経験を持つロイクトは語った。

コストコ、ラルフス、USフーズ、スウィフト・トラッキングなど一部の大手フリート事業者は、テスラ・セミの導入に向けてHVIPの補助枠を取得している。現在の補助枠データを見る限り、テスラのカリフォルニア州の顧客には今のところ、アマゾン、UPS、FedExといった大手小売・物流企業は含まれていない。テスラ・セミの最大の単独注文は、カリフォルニア州ロングビーチを拠点に電動貨物輸送を専門とするワットEVによるものだ。同社は約1億ドル(約159億円)相当のトラック370台を注文した。

テスラに追い風となるディーゼル価格5割の急騰

イランでの紛争によって生じたディーゼル価格の急騰は、今のところテスラにとって実質的な追い風になっている。米エネルギー情報局によると、全米平均のディーゼル価格は2月23日の1ガロン3.81ドル(約610円)から、5月18日には5.63ドル(約900円)に上昇した。税金や燃料規制の影響で、カリフォルニア州の価格は高い。同州のディーゼル価格は現在、1ガロン7.32ドル(約1160円)となっている。

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翻訳=上田裕資

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