経営・戦略

2026.06.19 10:45

BtoBにシフトで売り上げ1.5倍に VUILDが挑む「新しい建築OS」の構築

建設業界では、建設費の高騰や職人不足が恒常的な課題とされてきた。そこに紛争など不安定な世界情勢が重なり、その深刻さは一段と増している。こうした状況に対する解決策として注目されるのが、デジタルファブリケーションやAI、ロボティクスを組み合わせた建設プロセスだ。

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「建築の民主化」を目指す建築系スタートアップVUILDは、家具や建築パーツに特化した制作・施工プラットフォーム「EMARF(エマーフ)」やデジタル家づくりサービス「NESTING(ネスティング)」を展開し、その領域を先陣切って開拓してきた。

来年創業10年を迎える同社は、昨年からBtoCの事業からBtoBへ軸足を移し、売り上げ約1.5倍へと急成長を遂げている。大胆なピボットを経て新たな建築OSの構築に挑む、同社代表の秋吉浩気に話を聞いた。

1年前、崖っぷちからのピボット

個人向け住宅のプラットフォーム「NESTING」を2022年に正式ローンチしてから約3年、ミッションとする「建築の民主化」を実践しながらも、収益構造の面では厳しさを抱えていた。

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「NESTINGでは1軒で2000〜3000万円が動きますが、利益は数パーセントしか残らない。問い合わせを多数いただくもののNESTINGの独自性ではなく、低価格を求めている方が多かったというのが現実で、なかなか受注に至りませんでした。面白さを追求してきましたが、企業体力がどんどん失われていき、まず足元をしっかりさせようと整理しました」

そんななか、じわじわと受注を伸ばしていたのが、BtoBの造作什器・内装工事だった。制作施工プラットフォーム「EMARF」を通じて、法人顧客から相次いで問い合わせが届いていたのだ。 

什器設計:studio OCULUS 伊藤武史氏 製作: VUILD株式会社
什器設計:studio OCULUS 伊藤武史氏 製作: VUILD株式会社

「オフィスのエントランスやカフェのシンボリックな什器など、平均すると500〜1000万円規模の案件が立て続けに来ていて。法人のお客さんは、安さじゃなくて、僕たちのクリエイティブを評価して、クオリティの高いものを求めていました」

ここではVUILDの強みが生きていた。一般的な職人施工では、曲線や自由形状になるほどコストが跳ね上がる。しかしVUILDは、3Dデータさえつくれれば機械がそのままデジタル加工するため、クリエイティビティの高さや形状の複雑さがコストに直結しない。 

「例えば展示会の什器制作の予算が1000万円で、他社では四角い箱しかつくれないとして、僕らなら『ちょっとサイズを小さくすれば曲線で作れます』といった対話ができる。デジタルのため人材不足の影響も少なく、納期も早くできたりします」

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文=国府田 淳、編集=鈴木 奈央

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