経営・戦略

2026.06.19 10:45

BtoBにシフトで売り上げ1.5倍に VUILDが挑む「新しい建築OS」の構築

ヒューマンスケールでつくる福島のスタジアム

現在挑む大きなプロジェクトは、福島ユナイテッドFCのための5000席規模の木造スタジアムだ。テーマは「地域住民と地域資源でつくる、地域の象徴」。2階建て住宅程度のヒューマンスケールのユニットを連続させ、巨大な建築をつくるという。 

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「完全木造のスタジアムは世界的にもほとんど例がない。5000席だと、2階建て住宅と同じぐらいの高さ、10数メートルの断面で一周できる。つまり、大規模建築の複雑な構造を使わずに、僕らが住宅や什器で積み上げてきたモジュール設計の延長線上でつくれるんです」 

福島の大内宿のような茅葺き屋根が連なった集落の景観をイメージしながら、地域住民が一緒に作る「コビルド(co-build)」の祭典としてスタジアム建設を計画。 「地域の人が関わって一緒につくると、建物への愛着が強くなる。NESTINGで実践してきたコビルドを、5000席、1万平方メートル規模でできたら、かなり大きなインパクトになる」。

福島スタジアムイラスト(C)numap
福島スタジアムイラスト(C)numap

同プロジェクトでは、Living Building Challenge(LBC)の取得も視野に入れている。LBCは、建物が周辺環境を「回復・再生」することを求める、世界で最も厳しい環境認証のひとつ。水処理、半径何キロ圏内での資材調達、再植林材の使用など、多くの項目をクリアする必要があるが、取得できればスタジアム規模としては日本初の事例となる。

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AIとロボティクス、そして北米進出

昨年調達した資金は、AIとロボティクスに投資している。AIに関しては、9年間にわたるVUILDの制作施工データベース構築し的確に学習させ、イラストやイメージパースを入力するだけで、数分以内に概算見積もりを出力できるシステムを開発した。 

さらに全社員にAIアカウントを付与し、デザイナーも製造担当者も、自ら製造管理アプリなどを開発するようになっている。エンジニアはベースとなるデータベース設計に集中して、現場が自分でアプリを育てていく。開発の民主化が社内で起きている。

ロボティクスに関しては、厚木の工場に新たなファクトリーオートメーションを実装予定で、加工単価を現在の4分の1以下にできる算段。既存のプレカットマシンは、1台2〜4億円と高額かつ広大な敷地が必要なところ、ロボティクスであれば1台3000〜4000万円で場所もとらず、24時間加工し続けることができる。 

「今までは、車のパーツのように同じものを大量に作るオートメーションしかなかった。AIとロボティクスで、異なるパーツを止まらずに作り続けるオートメーションを実装すれば、新しい建築OSがつくれる」

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文=国府田 淳、編集=鈴木 奈央

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