米国とイスラエルによるイランへの攻撃と、それによるジェット燃料の価格高騰、航空会社による減便、そして引き続き問題になっているオーバーツーリズム、人手不足、欧州で全面的な運用が開始された出入国管理システム(EES)、極端な気象現象と気候変動──旅行業界は混乱状態にあると言っても大げさではない。
そして、旅行を計画する人たちは、こうした不安定な情勢に即座に対応し、休暇の取り方や行き先を変更しており、すでにそれは、データにも表れている。旅客機ではなく列車での移動を選んだり、間違いなく大勢の旅行者で混み合っている人気の場所ではなく、これまであまり候補に挙げることがなかった選択肢の中から、行き先を選んだりするようになっている。
ラグジュアリーな旅を専門に扱う英国の旅行会社、360 Private Travelによると、休暇中の旅行を検討する人たちは、特に以前ほど簡単なものではなくなったと思われるルートや目的地について、より慎重に検討するようになっているという。
同社の創業者でCEOのジェームズ・ターナーは、「顧客たちは、これまでは検討しなかったような行き先も、候補に入れるようになっています。そして、帰国した顧客が最もよく話題にするのは、そうした場所への旅行です」と述べている。
ターナーによると、「ラグジュアリーな旅」と聞いてすぐに思い浮かべる場所ではないと考えられるものの、顧客の関心が高まっているとみられるのは、次の5カ国だ。
ブラジル
季節ごとの風景と野生動物との出会い
ターナーは、一度の旅行でまったく異なるいくつもの体験ができるという点で突出しているのは、ブラジルだとしている。野生動物と自然の美しさに触れることが目的なら、ベストシーズンは6~9月だという。
また、およそ80キロメートルにわたって続くレンソイス・マラニャンセス国立公園の白砂の砂丘にはこの時期、砂の下に溜まった雨水が作る無数のラグーンが出現する。砂の上を歩いたり、わずか数カ月で消えてしまう透明度の高いこれらの湖、ボニータ・ラグーン(ラゴア・ボニータ)やアズール・ラグーン(ラゴア・アズール)で、泳いだりすることもできる。
南米大陸の中央部に広がる大湿原、パンタナールのうち、ブラジル国内の北パンタナールと呼ばれる地域は、世界で最もジャガーの生息数が多いエリアのひとつ。また、クイアバ川をボートで下れば、その日一日だけでも、ジャガーのほかオオカワウソやカピバラ、スミレコンゴウインコなど、数々の野生動物と出会える可能性が高い。
そのほか、ユネスコの世界文化遺産として登録されている都市、コロニアル様式の建築物で知られ、アフリカ系ブラジル文化の中心地でもあるサルバドールにも、足を延ばすことができるだろう。



