教育

2026.05.22 14:45

10代が抱える夜の孤独を、音楽×AIで救う──女子中高生が挑む「Technovation Girls」最前線

プログラムで得た「世界と向き合う力」

アプリ開発においてもう一つの大きなテーマが、AIとの対峙だった。2026年度のTechnovation Girlsの審査基準では、社会の生成AIシフトを受け、「AIといかに向き合い、プロンプトをどう反復したか」「AIがもたらす倫理的リスクにどう配慮したか」という、大人でも回答に窮するような高度な要件が追加されている。

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コーディングとAIの実装を牽引した大和民寧さん(鳥取県・高等専門学校1年生)は、外部APIとの連携などに苦労しながらも、メンターの助言を受けながら開発を進めた。

「AIは昔から使っていたのでコーディングを任せることもありましたが、決して丸投げにして鵜呑みにすることはしませんでした。正しい使い方を意識して向き合ってきました」(大和さん)
当事者の等身大の悩みがわかる彼女たちだからこそ、AIを「ユーザーへ安全に寄り添うための道具」として定義づけることができたのだろう。

Technovation Girlsによる半年間におよぶこのプログラムは、彼女たちの未来に決定的な変化をもたらしている。

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「いちばんの学びは、『つじつまを合わせること』です。どんな課題があるかを探すところから始まり、解決策となるアプリの中身、そしてどうやってお金をまわしていくかというビジネスプランまで、一貫した論理のつながりを作れたことは、将来理系の研究や開発に進むうえでも、必ず自分を支える強力な軸になるはずです」(山田さん)

過去に個人でプログラミングコンテストに応募し、自信をなくした経験があったという大和さんは、「今回はチームで取り組み、自分の努力が認められて大きな自信につながった」と顔をほころばせる。今後の高専での研究でも、社会課題を解決できるプロダクトを作り続けたいと意気込む。

発案者である井口さんは、自身の変化を次のように語った。

「自分たちでゼロから計画し、かたちにしていくプロセスを通じて、自分に秘められていた表現力や可能性を見つけ出すことができました。本気の大人の皆さんが真剣に向き合い、対等に意見をくださる環境が本当に刺激的でした。ここで同世代の仲間と切磋琢磨して社会課題と向き合った時間は、スキル以上の『世界と向き合う力』を教えてくれました」(井口さん)

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加藤智朗=文

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