公開市場が注視する中で、AIの収益性はどう見えるか
現在進んでいるIPO関連書類の提出は、民間市場が長く先送りしてきた現実確認を迫ることになる。OpenAIは、2026年に140億ドル(約2.21兆円)の損失を見込み、2029年か2030年まで黒字化しないとしながら、1兆ドル(約158兆円)を超える企業価値で公開市場の投資家に評価を求めようとしている。
この上場は、AIブームに対する投資家の信頼がどれほど残っているかを試すものになる。すでに、生成AIが同分野に投じられている数兆ドル(数百兆円)を正当化できるリターンを生むのか、疑問視する声もある。OpenAIの最高財務責任者(CFO)であるサラ・フライアーも、同社はまだ公開市場の監視に耐える準備ができていないとして、上場時期への懸念を示している。
AnthropicのIPOストーリーは大きく異なる。第2四半期の営業利益見通しには、AIの収益性を阻む構造的要因として最もよく挙げられるモデル訓練コストが含まれている。この節目は、Anthropicが昨夏に投資家へ説明していた時期より丸2年早く到来した。
ただし、重要な留保もある。この営業利益見通しには株式報酬費用が含まれていない。民間資本で数十億ドル(数千億円)を調達してきた企業では、この費用が大きく、GAAP(米国会計基準)ベースでは利益を消してしまう可能性がある。また、Anthropicは計算資源とモデル訓練への支出増を計画しているため、通年で黒字を維持できない可能性もある。それでも、この四半期が示しているのは、十分な売上規模があれば、このビジネスモデルは営業利益を生み出せるということだ。これは公開市場に示す材料として価値がある。
OpenAIの問題は構造的だ。アマゾンが赤字の時期を乗り切れたのは、ほぼ一貫して営業キャッシュフローがプラスだったからだ。顧客が仕入れ先より先に支払う仕組みにより、同社はドットコム・バブル崩壊の最中でも、継続的な資金調達なしに資金繰りを維持できた。OpenAIには、それに相当する仕組みがない。同社の資金流出は、大規模な推論を運用するための事業コストに結びついており、前例のないペースで民間資本に継続的にアクセスできることに依存している。アマゾンが創業以来に調達した資金は約80億ドル(約1.26兆円)だった。
OpenAIは、3月の直近ラウンドだけで1220億ドル(約19.28兆円)の民間資本を調達しており、それでもなおデータセンター建設計画を進めるには追加資金が必要だ。HSBCのアナリストは、同社の成長計画に対して2070億ドル(約32.71兆円)の資金不足があると推計している。四半期ごとの決算とアナリストの監視がある公開市場は、これまでAIインフラ整備に資金を供給してきた政府系ファンドやプライベートエクイティ企業に比べ、こうした構造的なギャップに寛容ではない。


