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2026.05.22 15:30

Anthropicとマイクロソフトの契約は、AIインフラの大きな転換を映し出す

Koshiro K - stock.adobe.com

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現在AI分野で最も大きな話題の1つは、ここ数年で目覚ましく規模を拡大してきたある企業に関するものだ。エージェント型モデルで広く知られる存在となり、AIの安全性をめぐる懸念をめぐって、大口顧客の1つである米政府と真っ向から対立するまでになった企業である。

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Anthropic、マイクロソフトの提携

Anthropic(アンソロピック)のダリオ・アモデイCEOは1983年にサンフランシスコで生まれ、妹のダニエラ・アモデイはその4年後の1987年に生まれた。OpenAIに在籍していた兄妹2人が生んだ小さな会社として出発したAnthropicは、今や市場で無視できない勢力へと急成長した。2年前、同社の評価額は40億ドルから150億ドル(約6360億円~約2.39兆円。1ドル=159円換算)の間だった。それが現在では3500億ドル(約55.65兆円)を超えると見積もられており、Claude(クロード)の名は誰もが知るものになっている。

そのAnthropicが、自社の事業運営にマイクロソフトの計算資源を大規模に利用しようとしていることがニュースになった。エヌビディアも含めた米国時間2025年11月発表の戦略的提携で、Azureのインフラサービスに投じる額は300億ドル(約4.77兆円)に上る

また、2026年5月21日、The Informationのアーロン・ホームズとチエンアー・ルーが次のように報じた。「Anthropicは、マイクロソフトが設計したAIサーバーチップを搭載するサーバーを借りる交渉を進めている。これはソフトウェア大手にとって大きな成果だ」。

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なぜマイクロソフトを使うのか

ここで浮かぶ疑問は、事業拡大を進めるAnthropicが、なぜ他の多くの企業のようにエヌビディア製ハードウェアを自社内で使わないのかという点である。

筆者がGPTに尋ね、得られた答えを言い換えると、次のようになる。

(1)コスト管理:エヌビディアのGPUは高価であるだけでなく、供給も限られている

(2)調達先の分散:AI研究企業は、単一のベンダーやサプライチェーンに全面的に依存することを望んでいない

(3)クラウドとの統合:マイクロソフトのクラウド基盤は、大規模なAIサービス提供のための処理において、専用機能や個別サービスの支援を提供できる可能性がある

(4)交渉力の確保:代替手段を持つことで、企業はエヌビディアとの価格交渉や提携交渉で有利な立場に立てる

(5)垂直方向の最適化:Anthropicは、消費電力当たりの性能を高めるため、特定のハードウェア構成に合わせてモデルを調整する可能性がある

4番目は興味深い。そもそもそれが戦略の一部だったのかどうかが気になるところである。2025年11月18日の報道では、CNBCのアシュリー・カプートとマッケンジー・シガロスが、マイクロソフトはAnthropicに最大50億ドル(約7950億円)を投資する計画である一方、エヌビディアはその倍にあたる最大100億ドル(約1.59兆円)を投資すると伝えている

カプートとシガロスは「Anthropicはまた、エヌビディアのGrace Blackwell(グレース・ブラックウェル)およびVera Rubin(ベラ・ルービン)システムによる最大1ギガワット分の計算能力を購入することも約束している」と述べている。したがって、この2つの契約がいずれも進んでいるのであれば、交渉力の確保も構図の一部なのかもしれない。

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翻訳=酒匂寛

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